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【特別座談会】コンプレックスを力に変える仕事術〜電通の若手プランナーによる楽しい仕事の創り方、紹介します。〜(後編)

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コンプレックスの見つけ方

西井:自分の中にあるコンプレックスの見つけ方、見つけるセンスってあると思いますか。

小島:今度、出す『なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。』を一緒に書いている保持壮太郎というクリエーターは「コンプレックスは才能の塊だ」ということを言っていました。

コンプレックスを感じるから、成長しようと思うわけで、自分の嫌な部分が、自分ができないことを、見つけることがコンプレックスや才能を見つけることにつながると思います。

そういった意味では、廣田さんにとって自分ができていないなって思うことってなんですか。

廣田:できないというのとは、ちょっと違いますが、最近「35歳問題」というのを考えています。

35歳は人生の折り返し地点で、自分はこうなりたいという未来への期待と、そう思っていたけどなれなかったという悔やみみたいなものの量が逆転するのがこの年代だというもので、思想家の東浩紀さんの受け売りなんですが。村上春樹さんの小説の主人公もこの年代が多く、パラレルワールドに行ったり、プールサイドで号泣したり、「中年の危機」みたいなものに直面することで、物語が動いていきます。

僕も本を出したり、仕事の可能性は広がっていますが、次の10年の計画が立てられない。もう少し近い、未来の5年くらい先に向けてのモチベーションの上げかたをどうすればいいのか、が見つからず、少しもがいています。

コンプレックスを燃料に頑張るモデルが燃料切れというか、コンプレックスを薪として、くべても勢い良く燃えなくなっているのかもしれません。他の薪を探さないといけないんだろうなと思っていますが。

小島:コンプレックスを力に変える生き方は35歳くらいまでしかできないと。

廣田:そういう説ですね。

西井:だとしたら、とりあえず今あるコンプレックスを燃料にして燃やしきるしかないですね。

コンプレックスを力に変える技術

西井:コンプレックスを力に変える技術って何かありますか。

廣田:怒りのエネルギーをソリューションに変えていくようなことですかね。ただ「怒る」ということで止めないで、努力するエネルギーに変換して仕事にプラスになるよう創意工夫をこらしてみる。

怒りは莫大なエネルギーなので、ネガティブな方向で発散させるのではなく、パワーポイントの資料作りみたいなことに費やす(笑)同じ「書く」という行為でも価値が違うのでそうすると良いと思います。

西井:努力も重要ですけど、夢中になれることを見つけるということもあると思います。コンプレックスを埋めることと違う次元で、夢中になれることを一生懸命やることで、それがひとつのキャラクターとして認められることもあると思います。

廣田:何かをやってみると、気づきがあるので、何かに飛び込んでみるのがいいですね。アクティベーションを起こす。

西井:小島さんが出版社に企画書を送って本を出せたみたいに、努力した人への対価は意外とちゃんと支払われていると思います。

廣田:3人に共通しているのは、飛び込み営業をやったり、思いついたらすぐに自主提案している所ですね。

小島:唐突ですけど、私は企画書を書くのが好きです。こんなことやりたいなと思ったら、そのプランを10枚の企画書にまとめます。企画書を書くことは、自分を追い込むことにもつながります。

10枚という量も、ある程度の分量にするためにロジックが求められるので、必要です。私は社内ベンチャーをやっているのですが、投資してもらう時はもちろん、本を書くにしても、誰かに何かを訴えよう、伝えようというときには絶対企画書にしないといけない。

ただ、企画書を書いても物事ってそう簡単には通るものではありません。そこから、通らない理由を考えて、ひとつずつ潰していけば良い。そう考えると世の中に実現しないことはないと、精神論ではなく思っています。

廣田:僕は若干違う考えで、手紙、ラブレターには、中身ももちろん大事なんですが、それ以上に(当たり前ですが)宛先が必要で、内容は完璧でも宛先が間違っている場合もある、ということに気をつけないといけないと思っています。

僕も入社して3年目くらいの時にたくさんアイデアを思いついて、企画書を書きまくっていたときがありました。書くと先輩に持っていって、その対応を冷静に見ていました。

「まだ早いよ」と見てもくれない人と、一応見て、自分は手に負えないからと別の先輩を紹介してくれる人、あとは中身を見てアドバイスをしてくれる人の3パターンがいました。そういう時に、ちゃんとした人に相談しないと、むやみにアイデアがつぶされたりすることがあるので、内容だけではなくて、誰に見せるかという宛先も大事だと感じました。

もちろん、どのタイミングで見せるか、もちろん、相手の気持ちを考えながら渡さないといけないですが、企画書を書くという職人的な要素と、それを誰に見せる、誰に売るのかという商人的な部分のバランスという面があるということだと思います。

西井:企画の中身を作る小島さんや廣田さんのような人が「職人」で、私の場合は多分「商人」だと思います。中身をどう伝えるのか、宛先の人は何を求めているのかを考える役割です。

電通の社内でも宛先が消費者、生活者ではなく、対クライアント、対メディアになっていることもあるように感じています。ビジネス上はクライアントも大事ですが、消費者とマッチしてこそ物が売れていくわけですから。

次ページ 「違う業界にいる同世代への羨望とどうつきあうか」へ続く