それに、「作品」にはアーカイブ的要素も多分に含まれる気がします。
名画が美術館に収まるように、「名作キャッチコピーナントカ」的書籍に収まるコピーやネーミングが良いとされる風潮は今でもあると思います。
でも広告とは消費されてナンボ。
生活者のほとんどは何年も前の広告表現を思い出しもしないし、広告表現を作品だなどと感じもしないでしょう。
そのあたりの感覚が、クリエイティブ業界と生活者の間でずいぶんズレてきている気がするのです。
昔、企業が生活者に「上から」の物言いで通じていた時代は広告は「作品」でよかったんです。
その頃はむしろズレに価値があったし、広告クリエイターにもどこか浮き世離れした芸術家的キャラが求められていました。
今は、企業もクリエイターも、生活者とどれだけ近く、どれだけ同じレベルで物事を見られるか、そういった能力が問われています。
「賞」という慣習も弊害の方が多くなってきてはないでしょうか。
マス広告を含む全てのコミュニケーション活動においてその貢献度を複合的に評価しようというアトリビューションの時代に、コピーだけ、CMだけを採り上げて評価する、というのも妙な気がします。
僕は10年以上賞というものに応募してませんが、そのあたりの違和感があるからかもしれません。
エージェンシーが今抱えている問題の一つは長くやって来た「縦割り制」にあり、バラバラだった各部署をどう統合するかで頭を悩ませています。
その一方でマスのコピーだけ採り上げてこれは素晴らしいとか言ってることがもうおかしいではないですか。
コピー年鑑のような、「年鑑」という形式もどうなんでしょう。
「ターゲットは広告など見たくない」が広告を制作するときの大前提です。
ところがどんなコピーも必ず読んでもらえる、という意識で書いてしまうコピーライターはとても多い。
「年鑑」「名作コピー集ナントカ」といった形式で広告に触れているとそうなるのかもしれません。
この形式を新しくしようという意見はないのでしょうか。
昨年、今の広告コピーはポエムじゃないかとずいぶんネットで揶揄されてましたが、広告表現をなおもアーカイブ的に捉えようとするクリエイティブ業界の「ズレ」が指摘されていたんじゃないかと思っています。
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