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マーケティングツールとしても発展する“購入(EC)型”クラウドファンディング

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主に“寄付型”“投資型”“購入(EC型)”の3種類に分類される

クラウドファンディングは主に3種類に分類される。いずれも参加者がそのプロジェクトを支援するということが動機となるが、分類の根拠は個人の支援に対する見返りの形態であり“寄付型”“投資型”“購入(EC)型”に分けることができる。“寄付型”は文字通り“寄付”であるために原則見返りを求めない(プロジェクトにより個別レポートなどに対応するケースもある)もので、“投資型”は集まった資金を使ったプロジェクトの成果次第で“金銭”や“商品・サービス”の見返りを分配する。これらに対して“購入(EC)型”は、プロジェクトが提供する権利や商品・サービスを購入することで見返りがあらかじめ定められているものである。

本コラムでは前書きでも記載した通り“購入(EC)型”に特化したものである。また似たような仕組みで“融資”を行う事業もあるが、本コラムはこれに対するものでもないことを記しておく。

クラウドファンディング発達の背景:ネット決済やソーシャルネットワークの普及

上の図(提供:Makuake)はその仕組みを簡単に示したものであるが、ご覧のように、基本的には不特定多数のサポーターより比較的少額のプロジェクト支援が行われるということが特徴である。このように各種プロジェクトに関する支援者を募ることは、例えば町内会のお祭りに対する寄付など古くから行われていたと思われるが、最近“購入(EC)型”クラウドファンディング(以後ECF)が普及してきている背景に関しては“ネット決済”と“ソーシャルネットワーク”の普及があると筆者は分析している。

ECFではプロジェクトの支援を集めるために資金決済を行う必要があるが、インターネットを通じた決済手段がユーザーにも普及してきたことにより、企業側も集金しやすくなってきているという背景が挙げられる。主な決済手段はクレジットカード、コンビニ払い、銀行振り込み、ネットバンク振込(写真はMakuakeの提供する決済手段)であり、「決済方法の多様化はECFの普及の重要な要素の一つ。」(坊垣佳奈Makuake取締役)としている。

同様に重要なのは、ソーシャルネットワークの普及である。というのもECFは特定の興味を持つ人たちが集まって支援するという構造であるからだ。ネット上での個人の興味を可視化するものとしてインタレストグラフというものが存在するが、同じような興味を持つ人たちをつなげるソーシャルネットワークがそれらの人たちをつなげてプロジェクトの存在を拡散する役割を果たしているのである。写真は日本初のクラウドファンディングサービスREADYFORのログイン画面であるが、ご覧のようにまず、Facebookでの登録を促している点に注目したい。これは個別のメールなどにより個人とつながりよりもその人のインタレストグラフが内包されるソーシャルネットワークとつながるほうが、拡散しやすいからということではなかろうか。

この様な仕組みは決して新しいものではない。古くから日本でも町内会という地域インタレストグラフを活用し、夏祭りなどのイベントを回覧板という手段で告知し、協賛することによってうちわや焼きそば、綿菓子などの商品、射的や盆踊りなどのサービスを享受することがあったのではなかろうか? ECFはその仕組みをネットに置き換えてより広い範囲でより多くの人々を巻き込む仕組みであると理解するとわかりやすいのではないだろうか。

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