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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

テレビとネットの融合の鍵はテキストにあった。全テレビ番組を人力でデータ化する会社がある!

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広がるテレビメタデータの活用

テレビメタの活用はテレビ局以外でも展開されています。SONYや東芝のテレビや録画機でも活用されていますし、面白いのはヤフーショッピングなどEC事業者の利用法。テレビ番組の中で話題のお店や商品が紹介されると、ネットで検索した経験がある方は多いでしょう。エム・データ社は、番組に登場した商品やお店の二次情報、その商品のURLや住所などもデータ化しています。EC事業者はこうしたデータをもとに、番組で見た商品が検索されたらすかさずその商品が売られているページを検索結果で表示するなどで対応。ユーザーが「買っちゃおうかな」と思ったタイミングを逃さず購買につなげているのです。かなりの販売額になるそうで、テレビの影響力を活かした利用法です。

また、マーケティング的な分析にもテレビメタは使われています。販売データやネット上での検索データ、ソーシャルメディアのデータと組合せることで、テレビでの情報露出が販売や口コミにどう影響与えたかを解析できるのです。様々なマーケティング関係の事業者、分析ツールを提供する会社などに、すでに使われています。

マーケティング的な分析については、エム・データ社自身もプロジェクトとして進めています。「Life Log Lab(L3 : ライフログ総合研究所)」という社内機関を設立し、梅田仁所長のリーダーシップでテレビメタと、それ以外のいわゆるビッグデータを組合せた分析に取り組み中です。梅田所長は以前在籍していたAppleでネットでのバズとテレビを融合させて様々な流行現象を作り出してきた、その体験を生かして誰にでもわかるフレームワーク作りに取り込んでいます。

その手法を使えば、例えば『アナと雪の女王』の類いまれなヒットは以下のように解析できます。少し複雑ですが、じっくり読んでください。わかりやすいように『ミッション・インポシブル3(MI:III)』と対比していきます。

ここで使うデータはテレビメタをもとにした、それぞれの映画がCM、番組含めてテレビで放送された週単位での合計時間(TVランク)。そしてソーシャルメディア上、ここではブログで取り上げられた件数(バズ・ランク)です。

まずこのグラフは、2つの映画のデータを公開週で揃え、TVランクを棒グラフ、バズ・ランクを折れ線グラフで示したものです。公開週までは『MI:III』のほうが棒グラフが高い、つまりテレビ露出量が多いのですが、公開後には『アナ雪』のバズ・ランクが高まり、それを追うようにTVランクが高まっています。その後はTVランク、バズ・ランクが呼応しながら山が続いているのが見てとれます。

次のグラフは『MI:III』に絞ったものです。今度は横軸がTVランク、縦軸がバズ・ランク。公開までTV露出があり、公開後にはバズが高まっています。これは十分、ヒットした映画のケースとなっています。力の無い映画だとバズが高まらないで終わるわけです。実際、『Mi:III』は2012年の洋画トップ、53億円の興行収入をたたき出しています。

同じやり方で『アナ雪』を見てみるとまるでちがう展開になっています。公開後にバズ・ランクが驚くほど高まり、その後はTVランクが高くなりつつバズ・ランクもさらに高まっています。つまり、最初に見た人びとが話題にし、その人たちが起こした反応をテレビが取り上げて増幅させ、ますます人びとの口コミが広がったのでしょう。

次ページ 「これにテレビメタの中身をあてはめていくと」へ続く