【前回のコラム】「3rdパーティデータとしてのTV視聴データが流通する—業界人間ベム「2015年広告業界7つの予測」から」はこちら
個々の消費者の「兆し」を見つける
マスマーケティング企業のキャンペーンはシーズナリティなどの必然性もあるが基本、企業側(送り手側)のタイミングで行われる。
ビデオカメラのキャンペーンを例にとると、以前は卒業式、入学式シーズンと秋の運動会シーズンが主なタイミングだったが、昨今は運動会を初夏に行う学校も多く、3月だけのキャンペーンになっていたりする。
ところがヤフーやグーグルでの「ビデオカメラ」とか「ムービーカメラ」という検索量は1年中ほとんど変わらない。消費者側の需要、興味関心の顕在化はほとんど個々の消費者の個別のタイミングで起きているということだ。
それにも関わらず、キャンペーンのタイミングは1年に一度、3月だけということになると、送り手と受け手のコミュニケーションのタイミングがこれだけズレていていいのだろうか、という疑問が出てくる。もちろん検索連動型広告は欠かせないが、世の中には検索の対象にはならない商品やサービスのカテゴリーがあり、検索が機能する商品カテゴリーでも関心が顕在化する手前の潜在層をセグメントして反応しやすいユーザーを見つけたいという思考がある。「拡張」というターゲティングはまさに顕在層から潜在層の中の可能性の高いユーザーをターゲティングしようという試みだ。筆者は日本で初めてのリタゲ拡張実験を行った経験があるが、潜在層から可能性のあるユーザーを見つけ出すことができる可能性は、ビッグデータ時代になってますます大きくなっている。