コラム

宣伝部の変革と復権-次世代マーケティング部への機能再編-

「送り手」のタイミングから「受け手」のタイミングへ——マーケティングコストのシフト

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必要なのはテレビとネットの連携を設計する人材

ところが、こうした連動性を図る施策に知見があるプレイヤーは少ない。もちろんブランド側もそうだが、サプライヤー側にも極めて少ない。

テレビCMをつくる総合広告代理店も、ネットマーケティング(ネットの世界に閉じたマーケティング)には精通したネット専業代理店も、担当領域が別々で(そもそも広告主側の担当部署も別々)マスマーケティングにおけるテレビとネットの連携を設計する人がいない。

伝統的な広告代理店は、ホームラン狙いでバットをブンブン振り回し、たまにホームランも出るが、なぜホームランになったか三振してしまったかをデータで吟味することなどはない。一方、ネット専業代理店はバントばかりしていて、「バントするバットの角度を1度変えると出塁率が1%増えます」みたいなことはやっているが、ホームラン狙いとバント職人だけなのでつながらない。「誰かヒットエンドランのサインを出しませんか?」と言いたい。
 
どうやらネットの世界だけを見ている、広告マンはエクセルの表の中の数字しか見ていないとかPC画面上で考える広告文しかクリエイティブとの接点がないという難題があるようだ。例えばリアル購買データと紐づけた広告配信を扱うのに、購買行動の起こる店頭を見ておくという習慣がないようだ。リアルな世界の流通実態や購買時点、生活者の購買・使用シーンをその目で見てくるというフィールド体験的な行動様式が身についていないので、「数字のなぜ?」に回答が用意できない。

筆者の『広告ビジネス次の10年』に、ネット専業広告代理店の次の10年にマーケティング支援のプレイヤーとして、どこまで成長できるかに多少の疑問を呈しているのは、こうした文化が課題としてあるからだ。もちろん企業としては、ソシャゲや新たなデジタルツールへの積極的な投資で成功するであろうから、成長戦略上それはそれで良い。しかし企業の広告マーケティングを支えるBtoBビジネスとしては大きな課題を抱えている。

しかしだからと言って、伝統的な総合広告代理店が優れているかと言えば、必ずしもそうとは言えない。伝統的な広告代理店も、機能分化が進んだ結果、ブランディングもデジタルも俯瞰してトータルに設計する知見が少ないと言っていい。

次ページ 「分断状態を解消する」へ続く

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