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コラム

右脳と左脳の間のほじって食うとこ

タンスの角に足の小指と、グローバルソーホワットの間

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たとえば、P&Gの「Thank you, mom.」という感動的なキャンペーン。

テーマは「いちばん厳しい仕事はお母さんという職業だ」ということだが、こういう心の琴線に刺さる動画を作ってデジタルにアップし、世界で自社のブランドを向上させたい、というクライアントはけっこう多い。

そういうクライアントにかぎって「キャッチコピーは『お母さんありがとう』です」と提案すると、いやそれじゃ商品の特性をうまく伝えられてないし、他の会社でも言えることだからダメですね、などという話になってしまいがちだ。

 

いいんです。他の会社で言えることでも。

あなたはあなたの会社の企業理念を、知っているだろうか?

そもそも、あなたの会社が生まれたとき、企業理念などなかっただろう。
企業理念とは、企業の活動がいかに社会に対して公益をもたらすものであるか(そしてその対価として金銭を得ることを正当化するか)を言い、
企業全体に上意下達させるために、アトヅケでつくったものがほとんどだ。
そんな「自社社会内絶対存在意義」が企業理念であり、企業イメージ広告をやる以上、その企業理念の言い換え、アングルちがいでやはり普遍的なことを語る、ということ以外に正解はないのだ、と思う。

海外旅行に行くたび思うのは、「日本は日本人ばっかり」ということだ。
「日本は単一民族国家です」と発言してバッシングされた首相もいたが、日本ほど、奇妙なほどに外人が住みづらいカルチャーの国も、そうそうない。
ぼくらの民族は、ほぼ読み書きに不自由なく、ほとんど同じ7チャンネルの地上波を見ていて、流行っているものも似かよっている。
海外の多くの国は、ちがう言語、ちがう民族、ちがう文化が交じり合っている。リテラシーや所得にも大きな開きがある。読み書きができない人もいれば、何百もの言語が入り混じった共用語になっている、というインドのような国もある。見ているテレビは50チャンネルくらいある。

 

すると、多少の細かいちがいやニュアンスなどはわからなくなり、
根源的な「ぶっといモノ」だけが、真に伝わるネタとなる。

日本でつくられた広告、プロダクト、表現の多くが、びっくりするくらい海外で知られていない理由はこの「ぶっといモノ」をはずしているから、ではないだろうか。
その細かい違いはわからないよ、という。
「グローバル人材になりなさいよ」と、最近の子どもが若いうちから英語を学んだりするのは、単なる語学学習としての英語という壁の向こうにある、なんか目に見えないATフィールドみたいなものを取り払うためだ。

 

いやー、耳が痛い。
自分で書いてて、手が痛い。

ぼく、ATフィールドのカタマリです。

 

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