まずいお菓子が売れるパラドックス
このことを、あるテレビ局の方が聞きつけて、朝の番組で特集を組んでくださった。その時にやったのは、POPに美味しいとコメントが書かれた市販の商品と、「マズい。(本当)」と書いたゲテモノを店頭に並べ、どちらが売れていくかリサーチするものだった。
結果は、予想通り、後者の圧勝。ヴィレヴァンでは、マズい商品の方が圧倒的に支持された。
これはなぜだ??POPに美味しいと書かれた商品の方が買って得する可能性が高いのにあえて、マズい方を選ぶとはどういうことなのだ??
ほかにもゴリラがバック転し続けるぜんまいのおもちゃに、「くりか~えす ゴリリズム ♪」と、Perfumeの繰り返すポリリズム~風のPOPを、汚い字で書いた瞬間、急に売れまくったという事例もある。
先述のパラパラ漫画といい、なぜこれらのPOPがお客様の購買に結びついているのか??
これらのPOPの訴求点は商品にない
以前のコラムにも書かせていただいたのだが、ヴィレヴァンは、商品を売っているというより、商品を通して、買うという行為自体を楽しんでいただき、そのお代としてお会計をいただいていると考える。
なので、今回紹介したようなPOPを書くときは、商品のベネフィットを考えているわけではなく、「買うという行為」に訴求点を設定しているのだ。ヴィレヴァンは買い物を通した時間消費を売りにしたビジネスモデルだからこそ、この売り方が成り立つ。
ヴィレヴァンのPOPは、商品のベネフィットを見いだせれば、それを訴求点とし、商品に見いだせなければ、買うという行為に訴求点を求め、POPを書いていく。
要は、POPによって、価値を増幅させるだけでなく、そもそもの価値変換さえも行ってしまうというわけだ。
なので、意外とまともなものから、こんな不思議なものまで扱うのか??という振り幅の大きいMD(マーチャンダイジング)を組むことが可能になる。
このように変幻自在にPOPで商品をあやつり、お客さまの見え方を変えてしまっているところにヴィレヴァンの独自性のポイントがあるのかもしれない。
「「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」」バックナンバー
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