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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「“べき”ではなく“たい”が新しい価値を生み出す」——インフォテリア 平野社長に聞く

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未来を見据えて海外へと展開

——最近の社会動向や消費者動向で、特に気になっているものはありますか?

直近で一番心が動かされたことは、シンガポール建国の父と言われるリー・クアンユーさんが亡くなられたことです。私は今シンガポールに住んでいるので、リー・クアンユーさんの功績を改めて知るにつけ、本当にすごい人物だと実感しています。日本の国民1人当たりGDPをシンガポールが超えているのは周知の事実ですが、実は昨年にはアメリカの1人当たりGDPをも超えているのです。そこまでの成長を成し遂げた、彼のリーダーシップにはものすごいものがあります。

彼が言った言葉で「今、私が日本の若者だとしたら、私は日本から出るだろう」というものがあります。彼はもともと日本をベンチマークにしてシンガポールの国作りを進めてきたのですが、途中からそうではなくなったということです。この言葉には日本人として寂しいと感じる以上に「この状況を何とかしなくちゃいけない」という使命感を強く感じています。

我々のソフトウェア業界は現在の日本の縮図のような部分があり、現状は国内だけで成り立ってしまっている部分がある。成り立ってはいるものの、安定しているだけで業績は伸びていません。様々な機関の未来予測で「2050年には日本のGDPは第7~8位ぐらいに転落する」というものがありますが、外に機会を広げていかないとこのまま落ちていくだけではないでしょうか。だから、私たちは積極的に外に出ていきたいと考えています。具体的には、国外へ私たちのソフトウェアの価値を提供していくことが目標です。そのために今はアメリカと中国とシンガポールに拠点を置いて展開しています。

——会社の方向性としてはさらに海外に視野を広げていくということですね。

そうですね。海外に対する挑戦は難しい面もありますが、インフォテリアがインフォテリアらしくあるためにも、挑戦し続けます。目標は日本で最初の「世界中で使われるソフトウェアを作る会社」になること。日本ではすでに2つの市場シェア1位の製品がありますし、無料ソフトでは、カレンダーを使った「SnapCal」やオンライン付箋サービスの「lino」などは海外比率が高い。そうしたところをベースにして海外展開を図り、市場を伸ばしていきたいと考えています。
また、「つなぐ先を広げる」という意味においては、自社でサービス開発するだけでなく、海外のベンチャーに出資するなどして、IoTにも注力していく予定です。

平野 洋一郎
インフォテリア 代表取締役社長兼CEO

熊本県生まれ。熊本大学を中退し、ソフトウェア開発ベンチャー設立に参画。ソフトウェアエンジニアとして8ビット時代のベストセラーとなる日本語ワードプロセッサを開発。1987年~1998年、ロータス(現:日本IBM)でのプロダクトマーケティングおよび戦略企画の要職を歴任。1998年、インフォテリア創業。2007年、東証マザーズに上場。2008年~2011年、本業の傍ら青山学院大学大学院にて客員教授として教壇に立つ。