コラム

右手に常識、左手に非常識。――関西「広告」クリエイティブの源泉  

コミュニケーションの世界では、笑いが武器になる。

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子どもに受けるかどうか、それはひとつの目安になる。

そのCMを見て、子どもが笑ってくれるかどうか、それは広告がヒットするかどうかのひとつの目安になると考えています。

自分の娘が小中学生だったころは、オフライン編集したものを見せ、その反応を後ろから見たりしていました。
もちろん、娘の反応を鵜呑みにはしませんでしたが、参考にはしていました。子どもは、父親がつくっているということなんかまったく関係なく、自分がおもしろいと思ったときは笑います。そうでないときは無反応です。

僕自身が受けるだろうと思って見せたものが無反応だったりすることもあって、そんなときは軽くへこんだりもしてました…。子どもは素直で、残酷です(笑)。

あるスポンサーへのプレゼンで、「子供に受けるかどうかは…」という話をしたところ、

「電通さん、うちの商品は大人向けですよ。子どもに受けるCMをつくってもらっても、意味がありません」と言われました。

そのとき、田井中邦彦さんは次のように答えたんです。

「私たちは、子ども向けのCMをつくろうとしているのではないんです。人間はいくつになっても、子どもの心を持っています。そして、その部分は大人の建前とか理屈にしばられない、自由でオープンで無防備な部分です。私たちは、その、大人の中にある子供の心の部分を狙っていくんです。そこにうまく命中すれば、ヒットCMになる可能性が高いからです」

この田井中さんの話に、スポンサーの皆さんはなるほどと頷いてくださいました。

田井中さんをご存知の方はたくさんいらっしゃると思いますが、堀井さんと石井さんの間に立ち、堀井グループの仕事を支えた人です。残念ながら2012年の冬にご逝去されましたが、最後の最後まで広告が、そして広告に携わる若い人たちが、もっともっと元気になるようにと考えられていました。僕も田井中さんからいろんなことを教わりましたが、その話はまた別の回で書かせていただくつもりにしています。

次ページ 「少年少女のような気もちで、つくる。」へ続く

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