終了5カ月後、まとめサイトから全国キー局の取材へ波及
しかし、うれしい誤算があった。終了から5カ月後の2014年5月のゴールデンウィークの最中、ある人のTwitterでの投稿を皮切りに、ネットで話題になりはじめたのだ。
商店街にあるポスターの写真(ポスターは終了後も飾られている)を10枚ほど投稿したものがまとめサイトにまとめられ、それから、様々な人がこれをシェア、さらには文の里商店街のポスター展についてより詳しく書かれたサイトが次々と乱立したのである。
それがさらにシェアされ、そのサイトが中国語で翻訳されて、台湾でまた人気が出たのだ。そして、台湾からやってくる人間もあった。実は、このフェーズでポスター展を知ることになった人はたくさんいる。
さらには、ネットでの過熱はテレビを再び動かし、特に動いていなかった東京キー局が報道をしはじめた。ネットがリアルを動かした好例であった。
結果
このプロジェクトは以下の16の賞を獲得した。
佐治敬三賞
若手が選ぶコミュニケーション大賞 優秀賞
大阪日日新聞元気大賞 金賞
福岡コピーライターズクラブ賞×6
福岡コピーライターズクラブ新人賞×2
コピーライターズクラブ名古屋×3
コピーライターズクラブ名古屋審査員特別賞
カンヌクリエーティブフェスティバル ファイナリスト
商店街は中小企業庁が選ぶ「がんばる商店街30選」に選出された。
文の里商店街にはポスター展が終了した2年後もまだ来訪客が訪れている。
我々が去った今も、この火を消すまいと商店主自らが商店街でFM放送をしたり
アートイベントを主催したりと、自助努力を行っている。
「今まで商店街のことばっかり考えてたけど、地域のことを考えられるようになったんや」と商店街会長の江藤さん。
そう、商店主の意識が変わった。これがプロジェクトの一番の成果だ。
※次回は第三弾「伊丹西台ポスター展」を紹介します。
「日下慶太さん」に関連する記事はこちら
日下慶太(くさか・けいた)
コピーライター・写真家・セルフ祭顧問
1976年大阪生まれ、大阪在住。2001年電通入社。コピーライターとして勤務する傍ら、写真家、執筆家、大阪一のアホ祭り「セルフ祭」の顧問として活動。佐治敬三賞、TCC最高新人賞ほか受賞多数。写真家として愚かな日常を綴った人気ブログ「隙ある風景」連載中。
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