コラム

PRの現実と理想の狭間でー業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤ー

“広告スルー”の消費者を動かすブランデッドコンテンツとは

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世の中ゴトさせるだけでは、商品は動かない

自走するコンテンツは、戦略PRが流行した2009年のタイミング前後では、空気や追い風をつくるキーワードや製品カテゴリーのメッセージが中心でした。

僕の仲間も、「夜カジ族」「勝手にエコ」「やんちゃ買い」などのコアキーワードをPRのプランニングの段階で生みだし、なぜ、今、そのようなキーワードに注目が集まるのか?などの裏付けのデータや専門家のコメントなどと共に多くのマスメディアに情報を提供し、露出を獲得していました。

そのキーワードと一緒に取り上げられた商品カテゴリーは、そのキーワードが話題になるのに合わせて、メディアでの露出量が増え、そのカテゴリーの中の商品自体にも脚光があたり、結果としてその商品の売りに貢献することができました。

しかし、2015年の現在において課題訴求や流行づくりのようなキーワードの話題化だけでは、特定の商品の購買を押し上げることが以前より格段に難しくなっているのを実感しています。

僕の中では、その理由として自分も含めてPRパーソンは世の中ゴト、メディアで取り上げられる話題性のあるコンテンツをつくることは得意なのに、ブランドの伝えたいメッセージを自分ゴトにさせるためのストーリーやコンテンツをつくる、消費者のインサイトをベースに考える志向が少し弱いのではないかと思うのです。

つまりメディアが取り上げたくなるような話題性の高いコンテンツと元々その商品に興味のなかった消費者のパーセプション(意識)が変わり、購買というビヘイビア(行動)を誘発させるコンテンツは同じではない。世の中ゴトさせるだけで、商品の売りにつながりづらくなっている理由は、ここにあるのではないかと考えています。

それではPRパーソンとして、この課題にいかに立ち向かえばいいのか。

いま僕が考えているのは、PRを軸としたアーンドメディアでの情報波及をマネージメントする設計に加え、企業のオウンドメディアに消費者インサイトに基づいたブランデッドなコアコンテンツとしての役割を持たせることができないか?ということです。

消費者のパーセプション(意識)が変わり、購買というビヘイビア(行動)を誘発させる視点で創られたブランデットなコンテンツをオウンドメディアに格納。さらに、そこにメディアインサイト、ソーシャルインサイトの視点も加味して、そのコンテンツ自体が世の中ゴトになるような文脈をつなげる。

そうすることでメディアからの注目度が高くなり、消費者に「生活課題」と「商品」の2つ同時に気づきを与えることができるのではないかと考えるようになったのです。

また、オウンドメディアのコンテンツということで言えば、商品自体が最強のオウンドメディアであり、その開発の段階からパブリック・リレーションズの発想で、消費者インサイト、メディアインサイト、ソーシャルインサイトを考慮して開発することで、よりその商品自体に社会的価値の情報を付加することができ、商品自体が自走するコンテンツにもなりえると思っています。

「コトづくり」で求められる、PRでの経験

最近、PR会社出身で、メーカーやサービス業で活躍する仲間から、事業部やマーケティング部でパブリック・リレーションズ発想が求められていることが多いという話を聞くようになりました。

これまではPR会社出身=広報部というイメージがありましたが、最近ではPR経験者を積極的に事業部担当として採用する企業も増えてきているようです。

アーンドメディアやパブリック・リレーションズの発想や視点は、これからますます企業のマーケティング活動において重要なポジションを築くでしょう。

実際に、そのような企業からの相談は、僕の会社でも増えてきていますし、「モノづくり」だけではなく、「コトづくり」が必要であると社員に呼びかけるトップも増えて、「コトづくり」をする際に、アドバイスを求められることが増えてきていることも実感しています。

PRパーソンは、いわゆるパブリシティで露出をいかに獲得するか、という従来型の日本的な狭い範囲のPRが自分たちの仕事だと領域を限定してしまうと、もったいないかもしれません!

次回は、実際に自走するブランデットなコンテンツをパブリックリ・リレーションズ発想でつくるためのポイントを、消費者・メディア・ソーシャルの3つのインサイトを交えながら具体的に考えてみたいと思います。

それでは、ごきげんよう、さようなら!

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