世界のモバイル広告の動向と日本市場の可能性

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スマートフォンの浸透で注目されるモバイル広告の市場。その世界的な動向について、パフォーマンス広告、マーケティングに特化したテクノロジー企業であるCriteoのモバイル製品担当バイスプレジデントのジェイソン・モース氏に話を聞いた。

——世界のモバイル広告を取り巻く現況とは?

大きくは3つのトレンドがある。1つはタブレットからスマートフォンへとデバイスが小型化していること。ネイティブアドが注目されるのも小さなディスプレイの中で、ユーザーにとって快適な広告の形を模索する中で生まれてきた潮流と言える。

2つ目はマルチデバイス化だ。ラップトップPC、スマートフォン、タブレットと複数のデバイスを利用するユーザーが増えている。

3つ目が商品購入の場としてのモバイルの存在感が増していること。スマートフォンの浸透により、日本ではEC市場の5割以上がモバイル経由での売り上げを占めるに至っている。さらにその内の約9割が、スマートフォン経由であり、今後この市場はさらに拡大していくと考えられる。こうした状況を見ると、世界の中でも特に日本においてCriteoのパフォーマンス広告の市場性は大きいと考えている。

——近年のCriteoのモバイル向け広告における開発の注力ポイントはどこか?

モバイルアプリに対する広告配信とネイティブ広告だ。モバイルアプリへの配信に際しては今、注力しているのが「ディープリンク」(アプリの中の特定商品・コンテンツを、別のアプリ使用時にも直接指定するための仕組み)の構築で、2014年2月には当社の他、米国のTapCommerce社、ActionX社の3社が中心となり、モバイルアプリ内の「ディープリンク」をサポートするための仕様書、ベストプラクティスガイドを発表した。従来のブラウザと同様にアプリ間でもリンクを張れる仕組みで、使い勝手の向上を目指し、さらに改善を進めていきたい。

加えて数年内には、アプリとアプリ間だけでなく、アプリとブラウザもシームレスにつなげることができるよう、技術開発を進めている。広告をクリックしたユーザーをモバイルブラウザ、アプリのどちらに誘引したいかは、クライアントが掲げる目的によって異なる。最終的には、クライアントが求める形に合わせて、ユーザーの着地点をコントロールできるようになるのが理想だと考えている。

——グーグル、ヤフーなどを経てCriteoに入社した理由は?

私はモバイル広告の世界で10年以上のキャリアがあるがCriteoに入社した当時は、まだモバイルアプリ向けの広告は、洗練されていなかった。まさに、これから手法が進化していく領域であり、だからこそCriteoでの仕事に興味を持った。

日本はネット接続のモバイル活用は世界に先行していたが、当時のモバイル広告は統一のプラットフォームが整備されておらず、デバイスごとにバラバラの状況があった。その当時からCriteoは広告のプラットフォームを均一化させることが必要という思想を抱いていて、この点も私がCriteoに共感したポイントだ。統一的なプラットフォームは、クライアントにとってもパブリッシャーにとっても、ユーザーにとっても有益なものであり、実際、世界的に見てモバイル広告の世界は、統一のプラットフォームを志向する形で進化を遂げている。

——米国ではブランドマーケターがモバイル向けのパフォーマンス広告に関心を持つシーンはあるのか。

私たちに求められるのはトラフィックとコンバージョンであり、それ以外の指標で広告価値を判断してくれたらありがたいが、常に売り上げへの貢献を求められている。ただし、モバイル広告全般を見るとモバイルビデオ広告が登場し、ブランドマーケターが関心を持つケースも増えてきていると思う。

またアプリ向けの広告においても、当初は他のアプリの販売促進を目的としたものが多かったが、小売業や旅行会社など、オンラインでビジネスを行う企業が独自にアプリを提供するケースが増え、クライアントの業種は大きく広がっている。

——モバイル向けパフォーマンス広告の市場成長は、EC市場の成長と関連しているのか。

モバイル向けパフォーマンス広告の市場を支えるのは、一つは小売りや旅行会社などオンラインでビジネスが完結する企業。もう一つがモバイルファーストを掲げ、新しいビジネスを興すUberのような企業がアプリケーションベースでサービスを提供するケースが増えており、こうした企業の増加が当社の事業成長の2本柱になっている。

例えば、私が住んでいるサンフランシスコではUberの利用が盛んで、タクシー配車だけでなくランドリーサービスの提供も始め、生活のあらゆる面でUberアプリに接する機会が増えている。Uberに限らず、モバイルファーストを標榜し、アプリを介して多様なサービスを提供する企業は、ますます増えていくはずだ。こうした新ビジネスの成長もモバイル広告、特にアプリ向けの広告配信の市場の成長の起爆剤になるものだと考えている。

——日本市場をどう見ているか?

日本のクライアントは、スマートフォンが浸透する以前からモバイルの活用を熟知しており、世界的に見ても注目の市場だ。新商品の開発に際し、日本のクライアントにトライアルに参加をしてもらう機会も多く、今後も日本市場の動向には注目をしている。

Jason Morse(ジェイソン・モース)氏
Criteo モバイル製品担当バイスプレジデント

Criteoにてモバイル向け製品の開発、戦略立案から遂行までを統括。ヤフー、AdMob、グーグルなどを経て、Criteoに入社。


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