【前回のコラム】「マーケターが生き残るために知っておくべきスマートフォンのこと」はこちら
デジタル時代のカスタマージャーニーの重要性
皆さまマーケターにとって本来「カスタマージャーニー」という言葉は、特に新しい言葉ではないはずです。なぜなら、ビジネスを営むためには「カスタマー=顧客」の存在が不可欠であって、何のプロセスもなしにあなたの企業の顧客になることはありえないからです。カスタマージャーニーはその意味であまりに基礎的な概念であって、ワクワクするような新しいものではありません。
しかしながら、それでもなおカスタマージャーニーがマーケティングにおいてフォーカスされることがあります。それは、このデジタル全盛の時代において、まさに必須であることに他ならないからです。特に、デジタルマーケティングがもたらすカスタマージャーニーにまつわるアグレッシブな変化は、マーケターを日々、脅かしています。ここにカスタマージャーニーについてシンプルにまとめた図があります。ジャーニーは、大きく3つに分かれます。それぞれの変化を見てみることで、カスタマージャーニーの重要性を考えていきましょう。
1. メディア(Media)がME(私)に
カスタマージャーニーにおける「メディア体験」の変化についてです。これは消費者が顧客になる過程で、自らのニーズや欲求に気がつく段階のことです。マスマーケティングが全盛の時代には、言葉通りにマスメディアが強い影響力を持っていました。顧客はテレビやラジオ、新聞・雑誌といったプリントメディアに心を駆り立てられていたのです。ただ今や、ソーシャルメディアをはじめとするデジタルがこのメディア体験を侵食し、伝統的なマスメディアの環境にまで影響を与えています。
グーグルのおかげで消費者の情報を見つけるコストが劇的に下がり、フェイスブックやツイッターのおかげで情報をコントロールする力が急速に顧客に移行したのです。情報の主導権はいまや顧客の手にあるのであって、メディアやブランド側にあるのではありません。スマートフォンはそんな顧客に、指を少し動かすだけで情報をコントロールできることを可能にしました。スマホは情報の所有者が誰かを象徴するように、まさに顧客の手の中にあるのです。
2.ショッピングがパーソナライゼーション(個客化体験)に
二つ目のカスタマージャーニーは、購入プロセスです。これは特に、P&Gが「第一の真実の瞬間(1st Moment of Truth)」として注目した過程です。かつて流通はそのネットワークと購買力によって強大になり、ブランドに対してプレッシャーを与えました。マーケターは顧客が、実際に店頭で商品を選ぶ瞬間に注目することで流通との解決を選びました。
しかし、グーグルは0段階の「真実の瞬間」として、商品を棚の前で選択するより前の検索行動をメディア体験として振り戻したのです。それ以上に、デジタル化の波はアマゾンのようなオンライン流通やショールーミングをする賢い購入者を連れてきたばかりか、オフラインの流通業者にもデジタル化のインフラ整備を伴うオムニチャンネル体験を実現するようプレッシャーを与えています。
このような環境は、顧客にとってどの流通が一番良い条件を提示しているかを選択するショッピング体験の変化に留まりません。顧客自らが、自分たちのショッピング過程をカスタマイズ(個客化)して、サービスを自分たちのニーズやライフスタイルに合うようにしているわけです。アマゾンのパーソナルなレコメンド機能やお届けサービスはショッピングにおけるコストとストレスを最小限にしています。ショッピングは今やパーソナライゼーション(個客化)の体験の一部になっているのです。
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