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老舗旅館×クラウドシステム=顧客満足度の向上—陣屋

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『100万社のマーケティング』第4号の巻頭レポート「社内の資産×デジタルで新たな価値をつくる。」では、商品や技術、店舗、人的サービス、キャラクターといった、企業の既存資産にデジタルの手法・考え方を組み合わせることで、新しい価値づくりに成功している国内外の企業の事例を紹介しています。

宮﨑 富夫(みやざき・とみお)
陣屋 代表取締役社長

慶應義塾大学理工学部卒業、同大学大学院修士課程修了。2002年~2009年まで本田技術研究所 基礎技術研究センターにて次世代燃料電池開発に携わる。2009年10月に陣屋の代表取締役社長に就任。2012年4月に陣屋コネクトを設立。エンジニアと旅館経営者の2つの経験を生かした新たな事業を展開。

経営危機に瀕した家業を継いで

創業から100年以上の老舗「陣屋」はITの力で、大きな飛躍を遂げた。

創業から100年以上の歴史を持つ、神奈川県・鶴巻温泉に居を構える、旅館「陣屋」。将棋名人戦の舞台となることでも有名な老舗旅館だ。そんな老舗旅館のバックヤードを支えるのは、実は最新のクラウド型ホテル・旅館情報管理システム。2010年より紙の台帳をすべて廃止し、従業員にPCやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを貸与。すべての業務を自社開発したシステム「陣屋コネクト」上で行うことで従業員の業務を効率化し、サービスレベルが向上。2億9000万円だった売上を、5年で4億6000万円にまで拡大させた。

この改革を牽引したのが、陣屋の4代目社長である宮﨑富夫氏だ。大学院卒業後、本田技術研究所で次世代燃料電池開発に携わってきた生粋の技術者である宮﨑氏だが、2008年に父が他界、父の代わりに経営の指揮を執った母も疲労がたたって入院。2009年10月に、家業を継ぐことになった。

社長に就任した宮﨑氏が目の当たりにしたのは悪化した家業の経営状態。

「1999年から10年間、売上は右肩下がり。2009年には借入金が売上の3倍にまで膨らんだ状況でした」。

サービス業の経験は一切ない、しかも修行している時間もない。それでも、この経営の危機を脱すべく経費削減、売上拡大を実現しなければならない…。そこで宮﨑氏がたどり着いたのが、基幹システムの導入だった。

売上拡大をしようにも、顧客満足につながる情報はすべて女将の頭の中にあり、社内で共有ができていない状況。法人営業に必要な情報も、担当者の手帳の中。加えて、旅館予約のオンラインサービスが拡大していたが、それに対応できるような人材は不在。当時は、PCを使えるスタッフは1名しかいない状況だった。

経費管理についても同様で、原価管理も料理長の勘と経験に任されており、厳密には分析がなされていなかった。人件費も出退勤をノートに記載して管理していたため、月末に締めてみなければ、総支出金額はわからない。予算・実績管理も模造紙に記しておく程度。当時、相当に危機的な経営状況であったものの、その危機感がスタッフには伝わっていなかった。

「当時、考えた方針は個人の頭の中や手帳・台帳に書かれていた情報をいつでも、誰でも、どこからでも共有できるように情報を見える化すること、月次ではなく日次で売上・経費を管理し、PDCAを高速で回すこと、これまで記録されていなかった顧客情報を蓄積・分析し、顧客満足度の向上やプロモーションに活用すること、アナログで手間のかかっていたバックヤードの業務をITで効率化することで、スタッフがお客さまと接する時間を増やし、顧客満足、そして従業員満足を高めること、の4つでした」。

「続きは100万社第4号本誌をご覧ください」


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