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農林業を成長産業と位置づけ、独自の地方創生戦略を展開(雑誌「環境会議」より)

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消費者の環境貢献意識をEVIで具体化

森は水資源の涵養や地球温暖化防止機能、土砂災害の防止や自然環境の保全など、多面的機能を有する。日南町でも、目指す森林資源の活用は林業振興のみならず、水源としての機能にも期待を寄せる。

地理的にも鳥取、島根、岡山、広島の4県の水源を担う重要な役割を果たし、湧水は「おいしい水」としての評価も高い。また、冷涼多雨な気候で山陰屈指の米どころでもあり、米の成分含有量を計測する「食味値」では、名産地として名高い魚沼産の米に引けを取らない平均値86.4点という高得点だ。トマトもフルーツのような甘みで「日南ブランド」の代表とも言える高いクオリティを誇る。

日南町は面積の約9割を森林が占める。森林の整備をする地域の若手を育成する一方、「とっとり共生の森」プロジェクトとして企業や民間団体の協力を積極的に呼びこむ。

日南町ではJ-VERクレジットを販売するプロジェクトも立ち上げているが、これらのプロジェクトは農林産物や町産材を使用した木工品などを広くアピールする目的もあり、2014年からカルビー・カルネコ事業部との連携を図って、EVI(Eco Value Interchange)によるカーボン・オフセット商品の開発にも乗り出した。

カルビー・カルネコ事業部 事業部長
内閣府 地域活性化伝道師
加藤孝一氏

EVIは環境貢献に関心のある企業が森林事業者の中から支援先を選びクレジットを購入。クレジットが付加された「EVIシール」を貼った商品を販売することで、消費者が普段の買い物を通して簡単に環境貢献ができるという仕組みだ。カルネコ事業部の活動は開始から4年でEVIへのクレジット預託数が76 カ所、参加企業は45社を数え、預託クレジットにおける都道府県カバー率は79.5%に達している。

同事業部が行った消費者の環境に対する意識調査によると、国内外の森林、海、大気、動物など10のカテゴリーで「最も保護に力を入れたい対象は?」という設問に対し、「国内の森林」が圧倒的に多かったこともEVIの可能性を裏付ける。

カルビー・カルネコ事業部の加藤孝一事業部長は「企業や消費者が自分の故郷や親近感のある地域の森を支援できるようにサポートしたい。言わばクレジット版のふるさと納税です」と都道府県カバー率100%を目指す。

すでにペットボトル化した日南町の原水をカーボン・オフセット商品として販売する計画も進んでおり、今後もより連携を深め、さらなる商品開発を進める予定だ。

「道の駅」をタグとしたコンパクトビレッジ構想

水源となる日野川源流。湧水は「おいしい水」として評価が高い。

カーボン・オフセット商品の販売をはじめ、日南町の魅力ある環境や資源をアピールする拠点として、「道の駅にちなん(仮称)」の設立も進んでいる。

「道の駅」は1993年の制度創設以来、現在では全国に1000カ所以上の広がりを見せる地域活性化の強力なツールと言える。国土交通省は、優れた企画があり、今後の重点支援で効果的な取り組みが期待できる拠点として、全国に35カ所の重点「道の駅」を選定。日南町もそのひとつとなり、県外からも注目される存在になっている。

日南町の「まめな水」は、カーボン・オフセット商品のひとつ。フルーツのような甘みのトマトやトマトジュースも「日南ブランド」の代表。

増原町長は「中心地域にホームセンターやコンビニエンスストアの招致も実現し、ここに道の駅が加わることで充実した商業ゾーンが形成できる。日南町の活力を生み出すまちづくりを実現したい」と2016年4月のオープンに期待を高める。

中心地域整備は「コンパクトビレッジ構想」と位置づけられ、EV(電気自動車)による巡回交通システムの整備も視野に入れており、地場産業の振興や雇用の拡大、高齢者と若者の交流や町内外の交流促進など、「道の駅」が6次産業化推進の中核を担う存在となる見込みだ。

先出のカルネコ事業部とも継続的に協議を続け、「道の駅」で販売する商品は農産物を含め、すべてEVIによるカーボン・オフセット商品とする案も検討されている。ま
た、使用される電気やボイラーの燃料などをすべてオフセットした「CO2排出量ゼロの道の駅」を目指すことも課題として挙げ、実現すれば日本初のケースとなる。

天然記念物のオオサンショウウオをモチーフにした「オッサンショウオ」。

「地方創生元年」という言葉が多く聞かれる今、増原町長も「日南町も節目を迎えている。次の10年、20年を見据えた新たなステージを創造していく年と捉え、限りない可能性を大きく育てながら、町内外の人に住み続けてよかった、そして、住んでみたいと感じてもらえる年にしたい」と決意を語る。

昨年10月には町内の川に生息する国の特別天然記念物・オオサンショウウオをモチーフに、公式キャラクターとして「オッサンショウオ」が誕生した。介護施設や木質バイオマスを活用した温水プールも計画されている。「環境」をキーワードに、日南町は地方創生に着実な一歩を踏み出したようだ。


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EVI 環境マッチングイベント2015
─ 持続可能な社会のための環境貢献最先端成功事例 ─

テーマ:ともに、創ろう。
日 時:2015 年10月19日(月)
    9:45 開場 / 10:30 開始 / 16:10 終了予定
場 所:東京国際フォーラム(有楽町)B7 ホール
ホームページより、参加者募集中