広告の発注担当者こそ、法務の知識を身に付けなければいけない

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五輪エンブレム問題で注目を集めたように、広告にはさまざまな法律が関わってくる。広告会社はもちろん、企業内の宣伝部門の担当者も、法律に関する知識を身に着けることが必須だ。宣伝会議では2015年9月28日に「発注担当者のための広告法務講座」を開講する。その講師である電通 法務マネジメント局 局長補 中西開氏に広告の法律について聞いた。

画像提供:shutterstock

19年前、広告の法務のことを何も知らずに、メーカー(法務)から広告会社(法務)に転職しました。当時は、広告は自由気ままに企画制作できるものとばかり思っていましたが、実際は違いました。最初に、掛かってきた電話のことは今でも覚えています。

「D自動車で新車を販売するが、自動車の価格表示について教えてくれ」

なんのことやらさっぱりわかりません。「わかる奴と電話を替われ」と、怒鳴られました。次から次に、電話での問い合わせが続きます。

「新飲料の広告表現の法務チェックをしてくれ」「○○社の最上級表現は違法ではないか」「貨幣を広告で使いたい」「キャラクターが著作権侵害のクレームを受けた」「キャッチフレーズと商標について知りたい」「○○地下鉄の考査で掲載できないと言われたが…」

などなど。それからは質問に回答するために、日々勉強です。広告の業務には、実に多種多様な法規制が関わってきます。「景品表示法」「著作権法」「商標法」といった一般法もですが、やっかいだったのが、いわゆる「業法」と呼ばれる特定の業界にのみ適用される法律です。

食品の広告企画制作であれば、「食品表示法」「健康増進法」「薬事法」などの法規制について知っておく必要があります。また、広告を規制するのは法令だけではなく、業界によっては公正競争規約・自主ルールがあります。冒頭の新車の価格表示であれば、自動車公正取引協議会が定める公正競争規約を参照しなければなりません。食品も、食品によっては公正競争規約・自主ルールが存在します。

広告の企画制作で法令や公正競争規約・自主ルールを知らないと、違法な内容の広告の企画制作を発注したり、納品された広告の合法性をチェックできなかったりといったことになりかねません。

広告業界では一人の担当があらゆる広告媒体取引・広告企画制作について受注から発注までの仕事を全部こなしているケースが多いため、担当者が多種多様な法規制に関する最低限の知識を有している必要があるのです。

法令や自主ルールは、毎年のように新たに制定・改正されていきます。ここ10年で広告取引(特に発注者)に大きな影響を与えた法例の制定・改正としては、「下請法」「個人情報保護法」「暴力団排除条例」などがあります。法規制に関する最低限の知識といっても、各担当者がその知識を常にブラッシュアップしていく必要があるのです。

中西 開氏
電通 法務マネジメント局 局長補

川崎重工業入社、法務部、知的所有権部にて契約業務等を担当。電通に中途入社、法務マネジメント局にて法務相談(キャンペーン、表 示、広告表現、知的財産権など)及び契約業務を担当。日本著作権 法学会会員。JARO、ACC、日本マーケティング協会、日本PR協会、日本産業広告協会、日本計画研究所、宣伝会議などでセミナーの講師。知財管理「米国法におけるライセンス契約の保証条項の考察」、コマーシャル・フォト「広告制作で知っておきたい諸権利」、産業広告「広告と法規-広告表現入門」、産業広告「デジタル・コンテンツと著作権、肖像権」、日本広告業協会「広告会社業務を規制する法律の全体像」などを執筆。

「発注担当者のための広告法務講座」

広告制作における発注担当者が知っておくべき、法務知識を学びます。アイデアの発想元、二次利用の制限、広告素材の著作権、嘘になるコピー表現など、制作物を発注するにあたって知っておくべき法規を分かりやすく講義します。
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