メディアではなくエンドユーザーに向けて情報発信する力をつける
砂流:企業側からこういう情報を発信するにはどうしたら伝わりますか。
narumi:広報の方だったら、普通に記者やライターに口頭で伝えれば良いのでは。名刺交換した人にじゃんじゃんニュースレターを送る人もいますけど、もうメッセンジャーでもいいから週に1回これぞというのを送ってくれた方が届くと思います。
あと、広報担当者が自社の魅力やすごいところに気付いてないことが実は多い。社内では当たり前すぎるからですね。その当たり前を掘り起こしてサイトに情報として置いておくのもいいと思います。それこそオウンドメディアを使ってもいいですし。その後、「こういうページをつくりました」って連絡をすれば記事になることはあると思います。
難しいことですけど、「みんなが何を気にしているか」を先回りしたほうが良いですよね。
砂流:対メディアではなく、対エンドユーザーに向けて情報を書くことが大事ってことですかね。
narumi:エンドユーザーに向けて書く発信力は大事だと思います。プレスリリースを記者に向けて書くのは従来からある仕事だと思いますが、ゴールは世の中の読者に読んでもらうことですよね。その中間に仕方なく記者がいるわけで、企業の広報ページが想定読者にしっかり読まれたら記者なんていらないわけです。
「自社サイトをメディア化しよう」なんて昔から言われてますけど、いまこそ企業はそういったものを目指すべきだと思います。個人でもInstagramやブログなどを使ってもっとエンドユーザーに支持されるものをつくる訓練を気軽にできる時代です。広報担当者は記者の先にいる読者に向けて情報発信できる能力を身につけたほうがお得だと思います。いつかきっと武器になりますから。
メディアがネタかぶりを恐れなくなった
砂流:最近のニュースサイトや読者を見ていてnarumiさんが感じることや変化はありますか。
narumi:人の情報収集の方法が多様化していますよね。昔はヤフトピ見てます、朝のニュース見てますだったと思うんですけど、今はTwitterやFacebook、SmartNewsを見ている人がいたとして、それぞれ違うタイムライン、アルゴリズムで情報に接しています。みんな同じものを見ているようで全然違うものを見ている。
この状況でニュースサイトがどう変わってきたかというと、ネタのかぶりが全然あるんですよね。昔って重要なニュース以外はネタがかぶることってありませんでしたが、今はしょうもないネタまでインスパイアされていて、1日に同じ内容の記事を何度も見かけることありますよね。でも、受け手側は意外とネタがかぶってることに気付かない。
少し前に「このドレスが白に見えるか青に見えるか」というのがありましたが、あれはたぶん今新しく記事に起こしてもバズると思うんですよね。それぐらいここ2・3年で人が見ているものが多様化してきていて、メディア側も広報側もネタがどこかとかぶることは気にしなくなったんじゃないかなと。
むしろ、「あそこのサイトでバズってるから、うちもやろう」って自然に思っているかもしれない。昔は、「あそこに取られちゃったね」で終わっていましたが、今は「まだ読んでない人は十分にいるはずだ」という感じになってきたんじゃないかと思います。もしかしたら、別のサイトでウケたという前例を大事にしているかもしれないですね。
砂流:「自分たちのコミュニティにその情報をアップしよう」という意識なのかもしれないですね。忍者女子高生とかもいま紹介してもバズるんでしょうね。そう考えると、広報としてはネタを再利用できるし、アタックできる先も増えるのでうまく活用したいです。
narumi(なるみ)
編集者・ブロガー
ウェブメディアのライター・編集者に加えて、ブロガー・NAVERまとめ職人など様々な顔を持つnarumiさん。サラダチキンやコンビニおでんによるダイエットの火付け役でもあり、「narumiさんが紹介した商品はコンビニの棚から消える」と言われたこともあるほどの影響力があります。ネットの空気を熟知し、メディア、ブログ、NAVERまとめなど様々なプラットフォームでバズを生んできたオールマイティなアベンジャーです。
砂流恵介(すながれ・けいすけ)
PRプランナー/ライター
1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。
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