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コラム

長谷川、カヤックやめるってよ。

広告夫婦が思う「独立して幸せになる人」とは?(福里真一さん・三井明子さん)

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自分が思ったものが形になる瞬間は、とても嬉しい

長谷川:この仕事をしていて良かったな、と思う瞬間はありますか?

福里:僕は、自分のつくったCMがヒットした瞬間が嬉しいです。若い頃は「いかに“自分らしさ”の出た企画を実現するか」ということばかり考えていたので、なかなか仕事がうまくいかなかったんです。「もう“自分らしさ”なんか考えなくていいや」と思ってから、最初につくったのが「ジョージア」の缶コーヒーのCMでした。吉本興業の芸人の皆さんが『明日がある』の曲をバックに働く姿を描いたものなのですが、これがすごくヒットして。そのとき「自分のことよりも、広告主や世の中の人が望むものを目指すほうが健全だ」ということが分かったんです。

三井:私はもう少しささやかなことなのですが、自分が思ったものが形になる瞬間がとても嬉しいです。私は小学生のとき、同級生を笑わせるためにネタを考えるような子どもだったんですね。それが今の仕事につながるきっかけになっているような気がします。とくにラジオCMの仕事は、比較的細かい制約が少ないので、自分の考えた小ネタがそのまま形になって、人に聞いてもらえることも多くて楽しいですね。

長谷川:三井さんのラジオCMに福里さんが出演したこともあるんですよね。

三井:私が書いた台本に、インテリぶったいけすかない男性が知識をひけらかすようなシーンがあったんですね。プロの声優さんにお願いしても、良い人が無理をしているような感じになってしまって、イメージ通りにならなかったんです。「これはあいつしかいない…」と、そのとき、ちょうど自宅にいた福里を呼び出しました。

福里:急に呼ばれて行ったので歓迎されるかと思ったら、スタッフの方々の僕を見る目が冷たいんですよ。「お前、何しに来たんだよ」という視線に囲まれながら、針のむしろのような状況のなかで演じました。

何だかよく分からない「幸せ」よりは…

長谷川:最後の質問です。企業で働いていたほうが幸せな人もいると思いますが、独立したほうが幸せになるのは、どんな人なのでしょうか?

福里:そもそも、幸せになることを第一に考えなくてもよいのではないでしょうか。というのは、幸せって何だかよく分からないものだから。「あぁ、幸せだな~」とか、なかなか自分では判断しにくいことだし、分かりにくいでしょう。それよりも「自分の力を最大限に発揮して、いい広告をつくるためにはどうしたらいいだろう?」ということを考えたほうがいいんじゃないでしょうか。
わざわざ生まれてきて、たまたまこの仕事について、人生の時間をそこに費やしているならば、最大限に自分の能力を発揮して、それによって世の中がちょっと面白くなったり誰かに感動してもらえたら嬉しいですよね。

だから、自分の限りある能力をなるべく発揮して、いい広告をつくるためにどんな環境が必要なのか考えて、会社をうまく利用したほうがよさそうなら会社に留まり、独立したほうがよさそうなら、独立すればいいのではないでしょうか。

長谷川:たしかに、いい広告をつくって喜んでもらえたら、それが結果として自分の喜びにもなりますもんね。とても参考になりました。今日はどうもありがとうございました。

トークイベント修了後、お二人の著書の購入者にサインをする福里さん・三井さん。
本棚をバックに記念撮影。

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