コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

テレビの次のテレビを、テレビが考えるべき時が来ている。

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【前回記事】「戦国時代か、カンブリア爆発か。VODサービスが次々登場して追いつけない件について」はこちら

チャンネル権ではなくテレビの使用方法を争う

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画像提供:Shutterstock

先日、ある集まりがあって、10名ぐらいの若い人たちに「皆さんテレビは持ってますか?」と聞いたら、一人だけ「持ってません」と答えました。その場は、テレビに関係する議論をする会だったので、それはいけませんねと言ったら彼が慌てて「あ、でもテレビ見てます、アメトークとか大好きです。これで見てますんで」と、スマホを指しながら言うのです。

大っぴらに言いにくいけど書いてしまいますが、YouTubeで誰かがアップしたテレビ番組を見ているようです。面白いなあと思ったのは、彼がスマホを手に「テレビ見てます」と言ったこと。もちろん、スマホでテレビ番組を見ている、という意味ですが、あたかもスマホのことをテレビと言っているようにも受け取れるのが興味深いなあと思ったわけです。

「テレビ」とは、テレビ局がテレビ番組をテレビ受像機に送り出すシステムについての言葉ですが、なんだかいま、その意味がわからなくなっています。少なくとも、「テレビ」という言葉を使う時にそれがテレビ局のことなのか、番組を指しているのか、受像機を言っているのかはっきりさせないと話が見えなくなりかねません。そんなややこしい時代状況というものがいま、起こっているのです。

もうひとつ、今度は私の子どもたちの話です。高校生の娘はドラマや映画が好きで、当然私が契約しているhuluもdTVもNetflixも彼女は使い倒しています。世代的にはきっと、自分の部屋で自分のスマホで見放題を堪能しているのだろうと思っていたのですが、スマホではあんまり見ないそうです。見たくなったらリビングルームにやって来て、私が『下町ロケット』にのめりこんでいても「Netflix見ていい?」と聞いて私が答える前にテレビを操作してNetflixで『ソーシャルネットワーク』を見はじめたりします。「自分のスマホで見ないの?」と聞くと「テレビで見たいから」と振り向きもせずに答えました。

大学生の息子はここ数年、まったくと言っていいほどテレビを見ていませんでした。ところがこの夏からWiiの『スプラトゥーン』というゲームにどっぷりハマって、延々やっています。ちょっとでもテレビがあいてたらWiiで『スプラトゥーン』。油断するとテレビをとられるので、ウカウカしてられません。

こうして、最近はバラエティを見たい妻も含めて、テレビの取り合いが家族の中で起こっています。これは昔もあったことです。昭和の家庭では、チャンネル権を争ったものです。つまり放送されている番組の中でどれを見るかを争ったのですがいまは、テレビを何に使うか、の争いです。放送なのか、VODなのか、ゲームなのか。日曜夜にお父さんが毎週『下町ロケット』を見続けられるのか、難しい状況になっています。

「若者のテレビ離れ」と言いますが、そこには誤解がある気がします。起こっているのは「若者の放送離れ」です。テレビ受像機で番組を放送時間通りにリアルタイムで視聴する、そんなテレビの使い方はかなり減っている、とくに若者はそんなことしなくなっている。でも、スマホで番組を見る人は多い。彼らにとってはそれもテレビなのでしょう。あるいは、テレビ受像機で放送以外の番組を見る人もかなり多い。VODでテレビドラマを見ていれば、放送とは違った形だけどその人が見ているのも「テレビ」なのです。

次ページ 「「放送」は領土を失う一方」へ続く

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