コラム

良いコピーをどうやって書くか、ということより先に知っておかないといけない話。

マキシマムザ亮君が小霜和也の『ここらで広告コピーの本当の話をします。』を読んで・・・。

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クリエイターは自分の仕事をもっと疑わないとだめだゼ!

前作のCDアルバム『予襲復讐』には漫画が入っていて、亮君自身が原作を書いています。もうミュージシャンというよりクリエイターに近い。毎回、そこまでやるのかっていう作り込みがすごい。音楽だけ作って、あとは他の人まかせじゃなくて、最後までファンを楽しませようとしている。そこは、クリエイターとして、若手のコピーライターも見習うべきところがあると思うんです。

最近の若いコピーライターは、最初にコピーを出した後「それでほんとにいいのか?」と疑わないんです。提出した後も悩み抜いて「やっぱりこっちの方がいいんじゃないかと思って持ってきました」みたいなことがまったくない。一度考えたら、それで満足して、もっと良い表現を探したりしないんですよね。

亮君は、正反対で。自分が作ったものを隅々まで疑って、練り上げ続ける。そのこだわりは、パッケージに書かれたちょっとした説明の言葉にまでわたっています。

値段の脇に入っているような文言に「じつは亮君がですね、やっぱりここの言い回しが気になるから明日までに小霜さんに考えてもらってくれと言っていまして・・・」という連絡は担当さんからよく来ました。それだけパワーをかけてやったからこそ、怨念というかオーラが商品にまとわりついて売れているんじゃないかな(笑)。

彼自身は、じつは世の中やファンからどう見られるかをすごく気にするタイプだと思います。見た目に反して(笑)けっこう繊細だし、たぶんネガティブな意見を目にするとヘコむ人です。こういった映像作品を出したら批判的な意見も出てくるに決まっていますが、それを承知のうえで、傷つくことをわかっていながらやるっていう。それが彼なりのロックな生き様だろうし、そこから僕も学ぶことの多い仕事でした。

どうして僕がバンドの広告を考えるか?
マキシマムザ亮君からのメッセージ

マキシマムザ亮君(マキシマム ザ ホルモン/歌と6弦と弟)

僕は中学生のころ、部屋の中で一人「架空のバンド」のCDジャケットや帯を自作してよく遊んでいました。その時からジャケのデザインや帯につけるキャッチコピーを考えるのが大好きで、そこから「この自分が作った架空のバンドの音楽を聴いてみたい」と思ったのが、バンドを始めたきっかけでもありました。

バンドで活動してからも、もちろん自分達の作品にかかわるすべてのデザインやキャッチコピー、戦略なども自ら考えていますが、最近は人のバンドに勝手にタグラインをつけたり、コピーを妄想で考えたり、「俺ならこうするのに。ああやればもっと売れるのに、もったいないなーふふふ」と頭の中でケチをつけて優越感に浸るという悪趣味な一人遊びをしています(笑)。その悪趣味スキルアップの為に小霜さんの『ここらで広告コピーの本当の話をします。』を購入致しました(笑)。

僕は音楽に対して「白帯で黒帯を倒す」というモットーがあるのですが、白帯の自分が今まで独自にやっていたホルモンの商品の広告スタイルについて、「ここらで黒帯の方にケチつけてもらいたい」と思い(笑)、今回色々ご相談させていただきたくオファーをしました。

僕は何かを真剣に考えて悩むときは、頭の中でそれを漫画化させ物語として考えます。その時に、どれだけ自分とは価値観の違うキャラクターを登場させるかが大事だと思っています。自分では考えもしなかった意見やアイデアを僕の頭の中の妄想漫画のキャラ達が口にしてくる台詞こそがヒントだと思っています。

その妄想漫画の登場人物をアップデートする為には、一度本物の人と一緒に仕事をしてキャラクターデータをインプットする必要があったのです。まあ、そう簡単に黒帯の達人のデータを盗むことは出来るわけないのですが(笑)。

僕はロックバンドが音楽の広告を真剣に考えるというのは商業主義の匂いがしてなんかかっこ悪いと感じてしまいます。もちろんヒットしてお金がたくさんもらえることや人気が出ることは素敵だと思います。
「自分の音楽を一人でも多くの人に伝えたい」みたいな寒いことも言いたくなければ「わかってくれる人だけに伝わればいい」みたいなアンダーグラウンド主義を貫くのも苦手です(笑)。

では、どうして僕がバンドの広告を考えるか?
それは自分とは価値観の違う人間にも、自分を喰らわせてみたいからです。
絶対友達になれないって決め付けていた人たちに、新しい価値観を植えつけて共有してみたいというロマンのようなものがあるからです。

「どうだ、マキシマム ザ ホルモンってこういう味なんだぜ、想像と違っただろ?」って喰らわせたい。そして満腹にさせ、とびっきり満足したゲップが聞きたいのです。

今回、小霜和也さんにいろいろ相談させてもらったのは、そのような世間のゲップの音を聞く前に自分自身スキルアップするためのスタートアップであり、同時に「コピーライターの黒帯保持者にマキシマム ザ ホルモンを食べさせたい」という目的も果たしたかったのです。

ちなみにマキシマム ザ ホルモンを完食してくれた小霜さんは、満足のゲップではないかもしれませんが、とにかくひどい胸焼けは起こしてくれました(笑)やったぜ。



マキシマム ザ ホルモン
1998年八王子にて結成。日本語を独自の語感表現で操り、意味不明に見えて実は奥深いメッセージ性を持つ強烈な歌詞と、激しいラウドロックにPOPなメロディを融合させたサウンドスタイルが特徴で、マキシマムザ亮君 (歌と6弦と弟)、ダイスケはん (キャーキャーうるさい方)、上ちゃん (4弦)、ナヲ (ドラムと女声と姉)の4人からなるロックバンド。
2007年発売のアルバム「ぶっ生き返す」は累計40万枚超えのセールスを記録。
2008年発売の3枚組DVD「Deco Vs Deco〜デコ対デコ〜」はオリコン音楽DVDチャート1位を獲得し、音楽DVDとしては異例の15万枚を超えるセールスを叩き出す。国内の大型FESへ精力的に出演するばかりでなく、初の単独EURO TOUR(フランス、ドイツ、スペイン)では全公演をSOLD OUTさせるなど海外からも高い評価を得る。
2013年に発売した6年ぶりの5thフルアルバム「予襲復讐」がオリコンアルバムチャート3週連続1位を獲得。現在までに35万枚を超えるセールスを記録し2013年度タワーレコード邦楽年間ベストセラー1位、第6回CDショップ大賞2014の“大賞”に選ばれる。
2014年夏は国内大型FESへ多数出演し、アメリカで行われたSLIPKNOT主催のKNOTFEST USAへの出演、N.Yでの単独公演が大成功をおさめた。
2015年、ドラゴンボールの原作者鳥山明先生がホルモンの楽曲「F」を聴きインスパイアされて出来上がった映画『ドラゴンボールZ 復活の「F」』の劇中バトルソングとして「F」が起用される。
同年春に行われたツアー“『封印』~それでは皆さんマタニティ~”をもってナヲの妊活のためライブ活動は一時休止中。
DVD3枚+Blu-ray1枚+CD1枚の驚異の3規格5枚組で11月にリリースした映像作品「Deka Vs Deka~デカ対デカ~」はオリコン音楽DVD週間ランキングで1位、映画も含めた映像のDVD総合週間ランキングでも1位の2冠を達成。

小霜和也
クリエイティブディレクター・コピーライター・コンサルタント

1962年兵庫県西宮市生まれ。1986年東京大学法学部卒業。同年博報堂入社、コピーライター配属。1998年退社。2015年現在(株)小霜オフィス no problem LLC. 代表。 過 去、クリエイティブディレクター/コピーライターとして100社以上の企業の広告キャンペーンに携わる。ビジネスモデル提案などの事業コンサルティングから企業研修、ゲーム開発、映画シナリオなど幅広く活動。受賞多数。
近著「ここらで広告コピーの本当の話をします。(宣伝会議)」他著作「欲しいほしいホシイ(インプレスジャパン)」

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