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「すずらん通り」は都内にいくつある? 商店街が連携してブランディングを開始

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ワークショップで“いごこち”の重要性が浮上

ブランディングをしていく上でまず重要になるのが、例えば「すずらん通り」と言えば「あぁ、あの『○○』すずらんね」と誰もが思い浮かべるような、すぐに「すずらん通り」を想起できる言葉を明確にすることだろう。これが、ブランドの基本方針と言える。

このブランドの基本方針を「東京すずらん通り連合会」で共通の言葉と、商店街ごとの言葉をつむぎ出すために、ワークショップ型イベント「東京すずらん・ブランディング地域サミット」が開催された。

ワークショップデザインとファシリテーションは、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科特任准教授で、書籍『ワークショップ〜偶然をデザインする技術』などの著者である中西紹一氏が担当。ゲストとして、日本女子大学人間社会学部教授で文化人類学を専門とする中西裕二氏と、法政大学社会学部准教授でメディア社会学を専門とする土橋臣吾氏が参加。それぞれの商店街の魅力と課題について、商店街関係者に加え、街の人たちと、商店街を視察した大学生が一緒になって話し合った。

ワークショップの議論は文字に書き起こし、計量テキスト分析ソフト『KH Coder』を活用して共起ネットワーク分析を実施。共起関係が見られるクラスターから、議論のトピックを抽出するなど、できるだけ客観的な視点で議論を整理したという。

経堂をテーマにしたワークショップで浮かび上がったトピック。計量テキスト分析ソフト「KH Coder」を活用した。

その結果、商店街ごとに議論されたトピックは、以下のように整理された。

さらに議論を進める中で、「豊かに過ごすための居場所として、商店街を想起してほしい」「居心地の良さを生活者が主体的に見つけられるような仕掛け」「音楽やクーポンブックなどのコミュニケーション・メディアの活用」といったことの重要性が浮かんだ。そして、ブランドの基本方針の方向性として、「いごこち みつかる すずらん通り」が定まった。

この基本方針の「いごこち みつかる すずらん通り」をもとに、大学生だけが参加するワークショップが開催された。法政大学社会学部の学生60人が、5つの商店街ごとにチームに分かれ、「いごこちをよく過ごせるってどんなところ?」「見つけるを楽しむってどんな感じ」について議論した後に「いごこちを見つけられる企画アイデア」を考えて、発表しあったのだ。

このワークショップのデザインとファシリテーションを担当した立教大学の中西紹一特任准教授は、ワークショップを学生と行うことによる効果について、次のように語っている。

「商店街の人たちだけでワークショップを行うと、必ず店の活性化がテーマになり、個性的な店をつくるなどの話に終始して、実は通りやエリアに人を集めようという話にはなりづらいですよね。一方で、学生は商店街についての先入観や経験・体験が少ないため、店舗に縛れないさまざまなアイデアが出てくる。例えば『通りや道そのものの活性化』という視点で、商店街を捉えるアイデアが登場したりするのです。つまり、商店街の活性化ということを、従来とは全く別の視点で捉える学生たちから学ぶことができるのです。これがワークショップの最大のメリットでしょう。マーケティングにおいてインサイトを導き出す方法はたくさんありますが、ワークショップは“創りながら学ぶ場”なので、まさにワークショップ参加者たちが考えながら創りだす答え=アイデアの中に、自然とインサイトがあぶり出されるのです」。

直径1メートルの丸く切り取られたダンボール「えんたくん」が、テーブル兼発表用ボードになる。学生の発表では、SNSで投稿するための夕焼けスポットをつくるという企画や、商店街の店舗のなかで好きなお店を紹介するためのパンフレット制作、それぞれの商店の売りを紹介した掲示板をつくるといった、多様なアイデアが提案された。

若手クリエイターによるポスター展も開催

ブランディング・プロジェクトは、今回のワークショップだけに留まらない。他にも、3つの企画を同時に進めていく。

一つ目が、「クーポンブック」の制作だ。最近人気を集めるクーポンブックは、エリアごとに、各自店の設定したルールに基づいて1品を、クーポン価格(10%・20%割引、ワインコイン500円、1品サービスなど)のクーポンを掲載したもので、この「すずらん通り版」を制作する。

そしてニつ目が、商店街のポスター展の実施だ。各商店街の魅力を表現する広告ポスターを若手クリエイターが制作し、その展覧会を各通りで実施する。

最後の三つ目が、物産店となる。全国のすずらん商店街の協力を得て、物産品を集めて配布する。こうした一連の企画を通じて人を呼び込み、さらに商店街を盛り上げていく考えだ。

これらの企画の中でも、特に広告業界の人たちに注目してほしいのがポスター展となる。このポスター展では、若手クリエイターに商店街の魅力を表現したポスター制作を呼びかけている。

コピーとグラフィックがセットになったポスターを、審査員であるアートディレクターの副田高行氏(副田デザイン制作所)と、コピーライターの国井美果氏(ライトパブリシティ)、コピーライターの二藤正和氏(読売広告社)が審査し、グランプリには賞金10万円が贈られる。また、優秀作品のうち5作品にはすずらん通り商店街賞として5万円、入選10作品には図書カードが贈られる。

近年、商店街をテーマにしたポスター展が全国で開催され、盛り上がりを見せている。応募締切は11月30日で、応募要項はこちらのWebサイトに掲載されている。

商店街の魅力を表現したポスター制作に、ぜひチャレンジしてほしい。


お問い合わせ
株式会社宣伝会議 東京すずらん事務局
(東京すずらん通り連合会 商店街広告ポスターコンテスト事務局)
電話:03-3475-7666
メールアドレス:suzuran@sendenkaigi.com