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コラム

アンバサダー視点のススメ

アンバサダーとの共創がプログラムを支えている(ネスカフェアンバサダー)

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アンバサダーの方々と顔を合わせる重要性

藤崎:私はアンバサダーの方々のモチベーションについて興味があります。先ほどの共創のお話ではアンバサダーの方々は、いわば無償でネスレさんに協力してくれているわけですよね。ということは、何がアンバサダーのみなさんの動機づけや報酬になっているのでしょうか。

津田:アンバサダーの方々にお会いして、彼らの意見を聞くこと自体がモチベーションを上げることにつながっているようです。もちろん、自分たちの声がメーカーの商品やサービスに反映されることがあれば、アンバサダーの方々にとってもうれしいことなのではないかと想像しています。

藤崎:なるほど。顔を合わせて話をすることが大事なのですね。

津田:そうですね。アンバサダーのみなさんとの関係で私が実感しているのは、「実際に会って社員の顔を見せる・見えることの重要性」です。例えば、「原宿でこういうテーマで座談会をしたい」とアンバサダーの人たちに投げかけると、本当にたくさんの応募があり、話を聞くことができます。イベントなどのアンケートでいただく回答でとても多いのが、「自分たちが普段、口に入れているものを、どんな人たちが考えて作っているのか、社員の顔が見えたことが良かった」というものです。

つまり、アンバサダーのみなさんにとっては社員や実際の担当者と会うこと自体が、イベントに参加して良かったと評価するポイントの1つにもなっているようです。

藤崎:それはすごいですね。イベントの内容と、どちらの評価が高いのでしょうか。

津田:もちろんイベントの内容自体への評価や満足度も高いのですが、「社員の人はこういう思いで作っているんだ」と知ることも高い評価のポイントをいただいているということです。これは私も半信半疑なくらいですが、社員の顔が見える、話が聞けるという価値は上位に来ますね。

藤崎:シンプルですが、顔を合わせるというのは、大きな価値なんですね。

津田:不思議ですが、その通りです。考えてみれば私たちが普段使っている商品に関しても、その商品を作った社員の顔に関しては、普通は見えないですよね。でも、その商品担当者に会えたとしたらどうでしょうか。嬉しいと思います。つまり、企業とユーザーの距離が近くなることが求められているのだと思います。

藤崎:それはインターネットの時代だからでしょうか。

津田:どうしてなのかはわかりませんが、本当にシームレスというか、壁がないというか、そうしていかなければいけない時代なのかもしれないですね。私たちは、いろいろな機会を提供してアンバサダーのみなさんに喜んで頂きたいですし、私たちもアンバサダーのみなさんの知恵をお借りしたいと思っています。ですので、リアルの場も含めて、お互いの関係を今後も深めていこうと思っています。

藤崎:考えてみれば、今までメーカーの側は、消費者にとって人の顔が見えない存在だったと言えるかも知れませんね。私は以前、テレビCMを作っていましたが、そこで意識していたのは、いかに企業の顔を見せるかでした。しかしそれはあくまで表現上の比喩であり、本当に社員が登場するという意味ではありませんでした。それに対して、今や、こうしたアンバサダープログラムによって、消費者が企業と直接つながることができる仕組みができた以上、本来大切にされるべき「直接会う・会って話をする」、という価値が再度、見直されてきたというのは、とても納得できるお話です。

今日はありがとうございました。


今回のポイント

  • お客様と直接話す。一緒に創る。
  • アンバサダーの声がプログラムを支えている
  • アンバサダーの方々と顔を合わせる重要性

今回のまとめ

前回は「ネスカフェ アンバサダー」のビジネスモデルが誕生したきっかけを知りました。そして今回は、ネスレさんが実際の運用において、いかにアンバサダーのみなさんの声を重視しているかを知りました。企業とアンバサダーとの関係がここまで深いという事実を、多くの人は知らないのではないでしょうか。直接会って話をする重要性や、一緒に何かを創るプロセスも大変参考になるのではないでしょうか。

アンバサダーのみなさんとの“本音で話せる関係づくり”は、簡単なようで、なかなかできるものではありません。企業とお客様との「共創」は流行りのワードであり、その理念に賛同する企業は多いようです。では何をどうやって進めていけばいいのでしょうか。おそらく現実的な課題がたくさんあるからでしょう。共創に関して日常的に成果を挙げている事例はほとんど聞きません。そうしたことを考えると巨大で壮大なプロジェクトを組んで何かを行うのではなく、ネスレさんのようにアンバサダーのみなさんと行う近しい関係のアンバサダープログラムこそ、現実的な「企業とお客様との共創」なのでなないかと思えてきます。