不法移民が多いヒスパニック市場は日系企業も無視できない二番目のマーケット
アメリカでマーケティングを語る時、メキシコ人を中心としたヒスパニック市場を無視することはできません。国内で二番目に大きな市場で、5660万人(2014年米国労働省調べ)が住み、どの人種よりも高い出生率と成長率を誇っています。
ヒスパニック市場は、不法移民全体の52%にあたる約580万人のメキシコ人の購買力を無視できないマーケットであるため、前述したトランプ大統領の公約が実行に移されることになれば、ヒスパニック市場が打撃を受けることは免れないと思います。
カリフォルニアと言えばハリウッドの白人のイメージがあるかも知れませんが、実はカリフォルニアこそ、ヒスパニックがもっとも多い州で、今や白人よりもヒスパニックの人口が僅かに上回っています。そして、カリフォルニアのヒスパニック市場では、日本の食品やカップ麺、牛丼やラーメン、回転寿しなどのレストラン、百円ショップなどが熱い支持を集めているのです。
そういった意味で、ヒスパニックに愛される日本企業にとって、マーケティング戦略の「プランB」を準備しておくことは必須になると思います。
広告業界では、メディアバイイングに異変が起きている?
トランプ大統領就任の関連でさまざまなオンラインメディアで語られているコラムを要約すれば、広告主からメディアバイヤーに対して特別な要望が出始めたことが分かります。
これは前提としてトランプ大統領が徹底的なローインカムの人々へのターゲティングと彼らのウケを狙った過激なメッセージングを行なったことにより、過去の大統領には例がないほど反トランプ支持者に怒りをもたれてしまったことに起因しています。
それは大統領就任直前の調査でオバマ前大統領が70%を超える人々から期待をもたれたのに対し、トランプ大統領は40%程度という調査結果からも分かります。
前述の複数のオンラインメディアの記事によれば、コンテンツと広告の文脈を重要視する広告主からは、大統領就任式やトランプ大統領といった内容から自社の広告を遠ざけたいという依頼が入ったようです。
まさに災害のニュースの隣に広告を出し控えたい広告主のように、メディア各社は災害時のような対応を求められているのです。
私が住む南カリフォルニアの広告業界の友人たちは一人残らずトランプ大統領の支持者ではありませんでした。いたとしても少なくとも公言はできない状況にあったと思います。アメリカのなかでも特に都市部に住むマーケターやクリエイター、アーティストたちのオープンマインドで多様性を尊重するという信念とは相容れないためです。
トランプ大統領関連のニュースが伝えられるその周辺に広告を出したくないというのは、まさにこの地に住む半数以上の人々が災害時と同じ精神状態にあるということを意味していると言えるのではないかと思います。
広告費の大小に関わらず、日系企業もメディアプランについて一考する時期がきているのではないでしょうか。
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