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日本企業が検討すべきマーケティング戦略「プランB」 — トランプ新大統領、広報コミュニケーションへの影響⑩(結城喜宣氏)

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人間性に根ざした企業のDOING GOODのマーケティング活動を止めることはできない

以上、今日は3つのことについて考えてきましたが、今後の政策によっては災害時のように様々なことを複合的に考える必要が出てきます。トランプ大統領のチームが勝利した理由が彼らの際立ったマーケティング戦略とSNSやメディアを状況にあわせて使い分けてきた戦術にあるように、私たちもまた臨機応変に戦略や戦術を見直していくべきだと感じています。

しかし、政権がいかに変わろうともマーケティングやクリエイティブの力、市場の人々の声に耳を傾け、応えていくという本質に変わりはありません。そういう観点でみれば、明確に言えることが一つだけあります。特に最初の一年は人々の心の変化を注意深くみていかなければならないということです。

なぜなら全てのアメリカで生活する人々の心が変化し、偏って強固になり、二つの別の方向へと結束していくに違いないからです。それはトランプ大統領就任式の当日に、近年に例をみない膨大な数のデモが行われたことを見ても分かりますし、翌日に行なわれたマドンナを始めとする有名アーティストたちによる集会の数や熱気からも分かります。

その抗議集会は、大小様々なコミュニティ、たとえば女性の平等を主張する権利団体、同性愛の支持者、人権保護団体、不当な大統領の発言で苦しんでいるムスリムを始めとするマイノリティグループ、俳優や歌手のアーティストグループなどから構成されています。そしてまた日本も名指しで非難されている国の一つであることは間違いありません。

そうしてこれまでオバマ前大統領の元で培われてきた世界融和や平和維持の考え方、そしてその土台の元で広告主を含む広告業界が進めてきたDOING GOODの動き。それらの想いは何者にも邪魔することができないと心から信じ、これまで以上にアメリカでビジネスを行なっていきたいと私は思います。

2017年は、特に日系企業が厳しい対応を迫られる年になるに違いありません。それは私たち日本人のWeaknessともいえる「科学的な分析を通して現状を把握し、新しい文化に柔軟に対応すべく、即決し行動に移していく力」への挑戦に他なりません。