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コラム

椎木里佳の「JCJKの生態と欲望」研究所

「公務員」や「教師」になりたい!は高校生の本音なの?

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「電通」や「博報堂」すら全然知られていない

こうした事態を象徴するような『炎上事件』がありました。

昨年、女優の広瀬すずさんがバラエティ番組に出演した時のことです。スタジオの照明や音声などのスタッフについて「どうして生まれてから大人になった時に照明さんになろうと思ったんだろう?」「なんで自分の人生を女優さんの声を録ることに懸けているんだろう」「きっと大人になって年齢を重ねると共に本当に棒を…声を録るだけでいいの?」とコメントしたことが大炎上して本人が謝罪する騒動にまで発展しました。

確かに、タレントや女優として活動する広瀬さんが現場スタッフにこうした発言をすることは考えものですが、当時の広瀬さんは17歳。おそらく一般的な高校生の「ホンネ」と限りなく近いと思います。

身の回りには安定志向を求める親が口うるさく「資格を取れ」「公務員になって安心させてくれ」…そればかり。世の中にたくさんある「仕事」に目が向かなくなるのも自然なことかもしれません。

もしかしたら彼らは普段手にしているスマホや、その中のアプリを作るという仕事の存在にすら気づいていないかもしれません。

まずは「教師」と「公務員」以外の仕事を意識的に教えていく必要があると思います。例えばこの記事を読んでいるかもしれない広告会社の方々。皆さんの職業も高校生にはほとんど知られていません。「電通」「博報堂」という名前は高校生にはほとんど「関係ない」存在として扱われています。

中高生の子どもがいるご家庭は、ぜひ子どもたちに「震えるような体験」をさせてください。

私は中学1年生の時に「起業」という言葉を知って雷に打たれたような思いでした。

そして「僕たちは世界を変えることができない。」という映画を見たことも大きく影響しています。映画に出てくる優秀な医学部の主人公たちが全力を尽くしても世界を変えることはできない…。その圧倒的な現実の前にただただショックを受け、そして同時に何か動かないといけないというエネルギーにもなりました。

カリスマ不在の時代に、同年代を刺激して、この世代だからこそ起こせるムーブメントを作っていく──。それが高校の時先生に呼び出されて「起業なんて無理」と言われた私にとっての何よりの反抗です。