20世紀の成功体験から、21世紀のマーケティングは生まれづらい

【前回の記事】「広告・マーケティング業界で使われている言葉が「戦争用語」だと知っていましたか?」はこちら

今ほど顧客視点を重視する必要性が叫ばれる時代はないでしょう。ただし企業がお客さまのために尽くすには、様々な問題があるようです。では、一体どうしたらいいのでしょうか。その手引きとして、『顧客視点の企業戦略 -アンバサダープログラム的思考-』を宣伝会議から3月1日に出版しました。今回も出版を記念した特別連載です。

顧客視点を実践する難しさ

お客さまの立場に立った取り組みで問題になるのが、企業はどこまで顧客視点になれるのか、という点です。

例えば、お客さまのために徹底的な値下げをした場合、企業の利益はどこで得るのかという問題が生まれます。またお客さまへのサービスやメリットを優先して、自社に不都合な状況を作ったり、利益を極端に削ったりすることも普通はできません。

お客さまの希望を全て受け入れることも現実的には不可能です。全ての声を反映させることは無理なので、中途半端に受け入れるくらいなら止めてしまおうというのはよく聞く話です。

企業が自らの立場を保ちながら、顧客視点の取り組みを行うのは意外と難しいのです。だからこそ、数々のハードルを乗り越えて、成功している企業からは多くのことが学べるのでしょう。

商品開発でも、顧客が本当に欲しいと思っているものかどうか、十分に気をつける必要があります。その一例として、ボタンが数10個もついたTVのリモコンが挙げられます。開発者は多機能性を追求したのかも知れませんが、滅多に使わないボタンがたくさんあるよりも、数を絞って使いやすくした方が顧客にとっては使いやすいはずです。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 1978 / 2462 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ