メディアや時代が変わっても変わらないこと
新商品は多くの場合、それがあったらもっと人の暮らしに役に立つだろう、誰かのニーズに答えるものになるだろう、誰かに喜んでもらえるだろう、という視点で開発されているはずです。
つまるところ、企業が開発する新商品は「より良い暮らしや、より良い社会になること」を目指しているはずです。そして広告とは、それらの利便性をいかに生活者に伝えるかという存在です。
では、どうしたらその商品を必要としている人たちに、あるいは今は必要だと気づいていない人たちに、その商品の価値を上手に伝えることができるのか。
その思考プロセスは、換言すれば「人の幸福について考えること」であり、そうした「人の幸福について考えること」を仕事にしている広告クリエイターは、なんと幸せな仕事をしているのだろう、と一倉さんはおっしゃるのです。
これは大変、誇らしい指摘です。広告の仕事が一気にグレードアップした感じがします。しかし一倉さんは、その気持ちにキチンとブレーキもかけています。伝える立場の責任についてです。人の幸福について考えた時、安易で表面的な表現はふさわしくありません。「幸福の安売り」ほど、困ったものはないというのです。
広告クリエイターはあくまで誠実に、自分の体重を乗せて、自らが信じていることに従って、広告コミュニケーションを考える必要があります。本来、そうしたものでなければ、人に何かを伝えることはできないはずです。故・杉山登志さんも残しているように、「嘘をついてもばれるものです」。
マス広告の場合、企業からのメッセージはテレビや雑誌などのマスメディアを通じて生活者や顧客に届けられます。そして肝心のメッセージの中身に関しては、広告クリエイターの出番となるわけですが、そのポイントはいかに血の通ったコミュニケーションにするかというものです。
つまりマスメディアのメカニズムと広告クリエイターの存在が補完関係のようにタッグを組んできたからこそ、今まで広告が人に愛され、受け入れられてきたのと言えるかも知れません。
「アンバサダー視点のススメ」バックナンバー
- ファンのモチベーションは企業や周りの人に読まれている意識(ディーライフ)(2018/8/17)
- 視聴者を横串でつなぐマーケティング手段としてのファン施策(ディーライフ)(2018/8/10)
- ユーザーに委ねることで生まれた、多様なクチコミと説得力がカシオ「PRO TREK Smart」成功の秘訣(2018/5/29)
- カシオ「PRO TREK Smart」が取り組む、ファンやユーザーの信頼で紡ぐブランディング(2018/5/22)
- デルが記事広告の出稿をやめた背景、ファンが執筆する記事は「目線」が違う(2017/12/14)
- デルがファンとの交流プログラムで感じた、マスマーケティングとの違い(2017/12/06)
- ファンの声を直接聞くために社長が全国行脚、ケンタッキーフライドチキンの顧客戦略(2017/11/14)
- ケンタッキー「カーネルクラブコミュニティ」、購買データを使ったマーケティングの限界感から開設(2017/10/31)
新着CM
-
販売促進
チリワイン新商品が発売1.5カ月で急伸 メルシャン「デビルズ・カルナバル」
-
マーケティング
顧客と共に施策を実施する、バイオフィリアのマーケティング戦略
-
広告ビジネス・メディア
出稿場所はエスカレーターの手すり WEBTOON広告の最適解が生まれるまで
-
AD
マーケティング
Marketing×Technologyの力をすべてのヒトに
-
広告ビジネス・メディア
プロモーションのAtoZをおさらい!「OOH」ならではの価値
-
販売促進
コンビニとの融合で復活する町の本屋 集客や収益の課題を改善、日本出版販売
-
マーケティング
急成長する女子プロ・アマスポーツ界に熱い視線を送る米国企業
-
特集
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本?
-
販売促進
世帯普及率10%達成のロボット掃除機 アイロボット日本法人の独自戦略