コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

ACC賞マーケティング・エフェクティブネス部門は宣伝部が獲得して「うれしい賞」 — 矢野絹子(KDDI)審査委員長

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課題と成果がセットで見える賞

—どのようなキャンペーンの応募を期待していますか?

矢野:宣伝部門で働いていると、従来手法で効く広告活動をするのはなかなか難しいと実感します。テレビだけで閉じていては先へとつながらない。だからこそ、さまざまな掛け合わせによって狙った以上の効果が出ているキャンペーンや、何か新しさを感じる試みを掘り起こしたいと考えています。

新しい商品というのとは別に、昔からある誰でも知っているような商品でも、新たなターゲットに攻めていく戦略の新しさなどを見ると「おおっ!」と驚きます。いち消費者としてなんとなく見ている時は気づかなかったことが、エントリーシートを見ることで「同じ商品でも毎年違う課題を掲げて成功を続けているんだ」と気付かされたりします。そこにどういうクリエイティブが掛け合わさっているのかということは、本当に興味深いところです。

—世間が変わっていく中で変わらないように見えることも、簡単なことではありませんよね。

矢野:そうなんですよね。変わらないように見えて、市場は変化してくるし、新たな競合も出てくる。審査の中でも従来型の商品の新たな取り組みというのは、いつもキーワードのひとつになっています。元々その商品を愛好している「ファン」を手放してはいけないし、新規層を取り込んでいくためのチャレンジがある。それらが賞に出てきて、初めて気付いたりもするのです。

世に出てきたものを、課題とセットで評価できるのがこの部門のおもしろいところ。クリエイティブの良し悪しだけでなく、その背景にある「何か突破したい課題」がセットで見える。だからこそ、このクリエイティブだったのねという“納得感”を持って見られるのがおもしろい点です。そここそ広告主が知りたいことですね。

—審査委員に広告主が多いのもこの部門の特徴ですね。

矢野:広告主5人、クリエイター4人、マーケター2人という構成です。広告制作を依頼する側、される側、それを引いた目で見る側という3方向から課題に対する成果を見ていきます。

ME部門の広告主の審査委員には、ライオン、大塚製薬のようなB to Cがメインの会社の方と、東レやIBMのようなB to Bが多い会社の方がいて、異なる視点で審査することができています。B to Bのコミュニケーションは、やはり実務をされている方が理解しやすいですからね。B to Cの私から見ると「少しお堅いかな?」と感じるものにも理由や意義があるわけです。同じ宣伝部長でも、業態の違いでこんなにも視点が違うのだと驚かされます。

—確かに、テレビで素材メーカーのCMを見て「言われても買わない」と思ったことがあります。

矢野:不思議に思いますけど、その視聴者の中にも顧客となる企業の方が含まれているわけです。購買の際に「あのCM」と想起するかもしれないし、「ああいうCMをしている会社」というイメージを持つかもしれない。どこに課題があるのかは聞いてみないとわからなくて、もしかしたらリクルーティングのためのCMなのかもしれない。それによって、いい人材が採れたのであれば、十分にエフェクティブなわけです。

さまざまな課題と成果の形があるので、いまは「自分たちに関係がない」と思われている方もぜひエントリーしてほしいと思います。私もまだこの賞の審査経験は2度しかありませんが、それでも1年目より2年目の方が、エントリー企業の幅が広がっているのを感じます。

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