コラム

コピーライター養成講座60周年記念イベント「コピージアム2017」

【コピージアム】いきものがかり水野良樹と東畑幸多が考える「スタンダード」とは

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「宣伝会議コピーライター養成講座」の開校60周年記念イベント「コピージアム2017」が8月28日から9月3日まで、東京・六本木の東京ミッドタウンで開催された。期間中に行われたトークセッションの模様をレポートする。

ソングライターとしても活躍中の「いきものがかり」リーダー・水野良樹さんと、クリエーティブディレクター・CMプランナーの東畑幸多さん(電通)が8月28日、会期中最初のステージに登壇。水野さんが「スタンダード」な商品の開発担当者を訪ねる月刊『ブレーン』の連載「スタンダードへの道」になぞらえて、楽曲づくりや広告づくりにおける「スタンダード」のあり方について話し合った。

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普遍的価値と時代性の交わったところにヒントがある

水野:僕らミュージシャンの場合は、「そもそも自分が伝えたいメッセージがあって、それを届けるために曲をつくっているんだ」というように、作品と自分とのシンプルな構図を打ち出しやすいです。

一方、広告ではクライアントがいて、「この商品を売ってほしい」という明確なオーダーがありますよね。東畑さんは広告をつくる時、“自分”をどれくらい盛り込んでいますか。

ミュージシャン・ソングライターの水野良樹さん(いきものがかり)

東畑:僕は、95%はロジックをベースにしますけれど、5%は“自分”を入れていいと思っています。広告のアイデアは、ブランドの世界観という縦の軸と、時代性や普遍性といった横の軸を組み合わせることで生まれます。その横の軸を考える際、自分がその時代をどう捉えているのかという主観は入らざるを得ません。

それは決して悪いことではなく、むしろ広告と自分はつながっていた方がいい。そうしないと広告づくりは単なるルーティンな仕事になってしまい、一番大切な「人の気持ちを動かす」というゴールに到達できないので。

クリエーティブディレクター・CMプランナーの東畑幸多さん(電通)

水野:そういう意味では、僕らの『ありがとう』という曲にも通ずるところがあるかもしれません。「ありがとう」って普遍的な言葉ですけれど、きっと10年前の「ありがとう」と今の「ありがとう」は意味が少し違ってくる気がする。歌詞にも時代性があるように、きっとコピーにも時代性があるんですよね。

東畑:最近、ONE OK ROCK(ワンオクロック)と庵野秀明さんが出演するホンダ「シビック」の広告をつくったのですが、その時に「車でどこかに行く」という行為自体も時代に伴ってその意味が変わってきていると思ったのです。

水野:それはどういうことでしょう?

東畑:今の時代、Googleで調べればなんでも分かった気になります。でも、本当の情報は、自分の身をさらすことでしか手に入らない。フェイクニュースとか、ポストトラストといわれる時代に、リアルに体を動かして、誰かに会うことの価値は、 昔とは違う価値を持つかもしれない。

「移動」という車にもともと備わっている文脈と、今の時代のテーマを組み合わせた時、一つのアイデアが生まれます。これからのスタンダードをつくるためには、普遍的価値と時代性の交わりを考えることが大事なのではないでしょうか。

あらゆる人を瞬時につなげる曲こそが「スタンダード」

東畑:僕の勝手なイメージなのですが、水野さんはメジャー志向で、普遍的にたくさんの人に受け入れられる、いわゆる「スタンダード」な曲をつくる方という印象があります。それはあえてそうしているのでしょうか。

水野:そうしている面もあります。

例えば、僕らの音楽を好きな人たちにだけ、わかりあえる人たちにだけに向けて曲を届けていても、ご飯を食べていくことはもしかしたらできるのかもしれません。でも、それだけじゃつまらない。それ以外のわかりあえない人にも僕らの作品が届かないと意味がないと思っています。

東畑:それはなぜでしょう?

水野:今の社会ってコミュニティが分断していて、みんなの共通点がなくなってきていると思うんです。音楽一つとっても、ジャンルやアーティストの間で仕切りができていて、「あなたがその音楽が好きなら、それでいいんじゃない?」と冷めた見方で突き放すのが当たり前で、その間に交流が生まれにくい。

東畑:当てるコミュニティを意識して、切っ先の鋭いものの方がつくりやすいし、相手にも刺さりやすく、受けやすい時代ではありますよね。

水野:でも、それだけでは僕は嫌だなと思ってしまって。だから僕はあえて主語を明確にさせなかったりして、どの場面でも、どのコミュニティの人にもつながれるような曲をつくろうとしているというのはあります。「そこならつながるだろう」と、誰でも、どこからでもつかめる曲をつくりたいんです。

東畑:コミュニティを超えて、みんなが共有できるものは、これからものすごく貴重になる。でも逆に、スターバックスコーヒーや、iPhoneもそうですが、今の時代に大ヒットするものは、ジェンダーやジェネレーションやカントリーという枠に超えていけるものだったりしますよね。

水野:そうですね。坂本九さんの名曲に『上を向いて歩こう』がありますけれど、あの曲は楽曲の完成度などとはまったく違う次元で“名曲”なんです。なぜなら、その曲の存在によって「上を向いて歩く」という行為がまるで以前からずっと「前向き」なことの象徴であるかのように、誰もが瞬時に理解するようになった。曲そのものがメッセージになって、それが我々の意識しないレベルで一般化されている。つまり、スタンダードをつくっているんです。僕が目指したいのもそういうことなのです。

会場では名作コピー・広告200点を展示

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「コピージアム」今後の開催予定

東京で1万2000人、大阪で5000人、金沢で3100人が来場した「コピージアム」。今後は札幌、名古屋、福岡を巡回します。

「コピージアム2017」Webサイト

■札幌
11月21日(火)~24日(金)
札幌駅前通地下広場 北大通交差点広場[東](札幌市中央区)

■名古屋
2018年1月11日(木)~18日(木)
NHK名古屋放送センタービル(名古屋市東区)

■福岡
2018年3月7日(水)~11日(日)
ソラリアプラザ1階イベントスペース「ゼファ」(福岡市中央区)

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