コラム

社会とアイデアの補助線

近くに味方がいなければ、つくればいい。 — #2日用品の救世主化の法則

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<Chapter.2>法則の普遍性を確認する
未成年に正しい性教育の知識を授けるには?

先に述べた“日用品の救世主化”の法則に則ると、他にどのような問題に対するアイデアがありうるでしょうか。

たとえば、未成年に正しい性教育が行き届いていない、という問題。
特に途上国では深刻です。たとえばペルーでは、16歳未満の女性の15%が既に母親になっており、その原因は性教育に関する情報不足だといいます(ペルーでは、性に関するトピックスは避けられがちな文化だそうです)。

そんな問題に立ち向かったのが、国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン。
彼らは『Real Problems(真の問題)』というサイトを立ち上げ、一見すると、選択式で問題を解いていくWeb上の勉強集のようなものを公開しました。

しかしこの問題集、よくよく設問文を読んでいくと、問題の題材はすべて「妊娠」「避妊方法」「性暴力」などに関するもの。
つまり、ほとんどの子どもまたはその親が持っているスマートフォン(=日用品)を使って問題を解くことで、自然と、知らなかった性教育に関する正しい情報(=救世主)を学べてしまう、という構造です。

この事例で扱われた問題は性教育だけでしたが、ほんの少し発展させれば、いじめ、親からのDV、うつ病、自殺。問題文の扱うテーマを変えることで、様々な問題を抱え悩む子どもたちが、然るべき場所に逃げたり、対処したりできる、そんな糸口となる可能性を秘めているように思います。このような取り組みを、教育系企業が、動画勉強講座の特別講義として配信する。本屋が、勉強・受験書のコーナーの一角に書籍やしおりとして紛れ込ませる。色々なやり方も考えられそうです。

僕自身、中学時代は教室の入り口の引き戸を、横にガラガラと引いて開けるのではなく、前蹴りでバタン!と押し倒して開ける生徒が牛耳るような勇ましい学校で育ちましたので、一部生徒からのいじめには悩みましたし、家庭では再婚した両親の不仲で息苦しかったこともあり、ひとり部屋にこもって教科書に逃げ込む毎日でした。

その時、上記のような情報がそばにいてくれたら。何かを変えられたのかもしれません。

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