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エビ中が実証!初心者こそ、コピーライティングで「K点超え」を狙える

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研究しすぎると「K点」を超えられない

—小林さんは、どんなコピーを「いいコピー」だと思いますか。

小林:日焼け止めの広告で「絶対焼かない」というコピーがあったと思うんですけど、そんなふうに断言していて、かつコンパクトにまとまったコピーは、頭にドーンと入ってきますね。日焼け止め、思わず買っちゃいました。

渡辺潤平さん

渡辺:確かに、強く言われると「そうかもしれないな」と思うよね。最近、「若い人向けの商品なので、もう少しソフトな言い方はできませんか?もっと寄り添うようなコピーにできませんか?」と要望を受けることも多いんですが、僕はそういうコピーは書けない。「焼かないでおこうね」と優しく言えば若い人が共感してくれるかというと、そうではないと思うから。年代・世代に関係なく、効果的なのは、やはり「強く、短く、歯切れのいい」言葉。なるべく短く言い表すこと、長く・難しく書かないことを念頭に置いてコピーを書いています。そういうコピーのほうが、結果的に話題になっている気もしますね。

小林:強く、短い言葉のほうが、頭に入ってきやすいですね。「あのキャッチコピー面白いよね」、みたいに話題にもしやすいです。

渡辺:自分自身が「グッとくる」ポイントを外さないことが大事です。ぽーちゃんと同じで、僕もズバッと言われたほうが響くから、自分でもそういうものを書きたい。心から思っていないことを、ちょっと長い文章で書いてみても、やっぱりピンとこないんです。ぽーちゃんが、ライブでみれいちゃん(星名美怜さん)みたいに「キャピッ」としようとしたら、きっとファンの人は「そういうのいらない」ってなるよね?

小林:「無理すんな」って言われると思います(笑)。

渡辺:人に個性があるように、言葉にも個性がある。その個性を、きちんと自分でわかっていることが大事。その上で、その瞬間、自分が一番グッとくる言葉を書けば、それが「いいコピー」なんじゃないかと思います。「宣伝会議賞」は、40万点以上の作品が集まる大規模なアワード。だからどうしても、「過去、こういうものが審査を通過した」とか「こういうものが審査を通過しやすい」といった、「傾向と対策」を研究してしまいがち。でも、そういう研究を基に書かれたコピーは、審査する側には分かってしまうし、見ていてもワクワクしない。書いているほうも、つまらないんじゃないかな。それよりは、思いもよらない方向からボールが飛んでくるようなコピーのほうがいい。「宣伝会議賞だから」とか「広告コピーだから」といったことにあまり縛られないことが、「いいコピー」を書く上では重要だと思います。

小林:たしかに、「いいものを書かなきゃ」と思い詰めすぎると、堅くなっちゃうイメージがあります。

渡辺:スキーのジャンプに「K点超え」というのがありますよね。コピーは、研究しすぎるとK点を超えられないんです。「ちょっと行きすぎたかな」とか「こんなこと書いていいんだっけ?」という表現まで攻め込めるかどうかが、大きな差を生む。あとは、いかに他の人と被らないか。博報堂時代のある時期、毎晩300本コピーを書くのがノルマとして課されていました。今思うと地獄の日々だったけど、それは、他の人が思いつくような表現をひととおり出し尽くし、その先にある、自分にしか出せないアイデアに到達するための訓練。この経験があるから、「これは、他の人も思いつくだろうな」というのがすぐにわかります。他の人と違う角度から商品を切り取るのがコピーライティングの醍醐味だとすると、そこは絶対にさぼっちゃいけない。ちょっと考えてパッと書いたコピーに、「いいコピー」はないと思います。

—「グッとくる」ことを言葉にすることが、「いいコピー」につながるとすると、「グッとくる」訓練も大事かもしれませんね。

渡辺:そうですね。それはいろんな広告を見ることであり、いろんな言葉に触れることであり、いろんな人に会うことであり、いろんな場に行っていろんな経験をすることだと思う。書くということにおいては、「書く力」と「読む力」の両方が必要です。読む力がついていないと、書くこともできないんです。たくさん読んで、いろいろな文章のあり方を知らないと、その人が書く言葉には「味」や「艶」が出てこない。ぽーちゃんは、いろんなアイドルのパフォーマンスを見たり、音楽を聴いたりするでしょう?そういうインプットが、自分が表現するときの燃料になるんじゃないかな。

小林:アイドルもコピーライターも、同じなんですね。

次ページ 「「いいコピー」を書くには、「言葉を尽くさない」こと」へ続く