中村禎さんが明かした、「宣伝会議賞」受賞に近づくための8つのポイント

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受賞に近づく8つのポイント

中村:次は、僕の過去の仕事などを通じて、「宣伝会議賞」に応募するときのヒントをお届けしたいなと思います。

「誰も起こしてくれない、一人暮らし。 悪いのは、誰だ。アッ、僕、か。」
(1982年/ソニー 目覚まし時計)

24歳の頃、TCC新人賞をもらったコピーです。当時、こんな長いキャッチフレーズの広告はなかったから、審査員の目にも新鮮に映ったようです。自分が寝坊した時の話を書いて、それをキャッチフレーズにした。上手いこと書こうとするんじゃなくて、いま世の中にないものをつくろうとか、新しいことやろうとか、そういう意識を持つことが大切だと思います。

「通勤時間が20分短くなると、年収30%UPと同じだけ幸福度があがる。という調査結果があります。つまり、あなたの年収が 500万円なら150万円もらえるようなものです。」
(2016年/アットホーム/宣伝会議賞)

コピーライター養成講座 専門コース中村クラス13代目の水野百合江さんが書いたコピーです。2016年の第53回「宣伝会議賞」で、コピーゴールドを受賞しました。たぶん、「宣伝会議賞」史上、一番長いコピーだと思う。コピーは短いほうがいいと言われるけれど、短く書くのは当然難しいんですよ。僕は、コピーは長くても短くてもいいと思う。読んだ人に「なるほど」と思わせれば勝ちですから。

「働いているだけでは、プロにはなれない。」
「広告につられて、転職する私ではない。」

(1986年/リクルート『とらばーゆ』)

女性のための転職・求人情報誌『とらばーゆ』のコピーです。2つ目は、編集長から「電車の中で見た人が、転職しなきゃ!と思えるコピー書いてください」と言われて書いたもの。「広告を見て転職しようと思う人なんかいないよ!」と腹が立ってしまって、それで書いたんです。必ずしも、クライアントのオリエンにそのまま答える必要はなくて、「そうは言っても、こうじゃないの?」という新しい視点や本質を見つけ出してほしいですね。

「ビール、ビールと蝉が鳴く。うれしいビール。キリン一番搾り」
「暑い暑い世の中で、ビールだけが冷えている。キリン一番搾り」

(上・1992年、下・1993年/キリン『一番搾り』)

これは僕が35歳くらいのとき、「キリン一番搾り」が新発売されたときの広告です。皆さんに言いたいのは、コピーは「五七五」じゃダメということ。お決まりのパターンが崩れたもののほうが、どこか引っ掛かりがある。不格好でもいいから、本当のことを言っているコピーのほうが絶対強いんです。

「つまんない広告をする企業は、ほぼ、つまんない。」
「がんばれNTT がんばるKDDI」

(2000年/KDDI)

これは2000年に、KDD、IDO、DDIの3社が合併してKDDIができたときのポスターです。KDDIの社長になったつもりで、全社員に向けて書きました。こんなふうに、「この広告は、誰が誰に向けて言っているのか」というのを常に意識してほしい。個人から個人へのメッセージであると意識して書いたほうが、強い言葉になると思います。

「あ〜しんどかった(笑)」
(2003年/阪神タイガース)

2003年、阪神タイガースがリーグ優勝を果たした翌日のスポーツ新聞に載った、星野仙一監督(当時)からのメッセージ。100、200と書いたコピーの中から選んだ1本です。10本書いた中から選ぶのと、100本、200本書いた中から選ぶのとでは全然違う。底辺が広いほうが、頂点は高くなるんです。皆さんも「宣伝会議賞」に応募するときは、100本、200本書いてみて、「やっぱこれが好き、応募したいな」と思えるものを応募してほしいですね。

「夕方の私は何歳に見えているだろう」
(2012年/資生堂 エリクシール『デーケアレボリューション』)

基礎化粧品の、車内ステッカー広告のコピーです。電車の中の広告なんて、誰も見ていない。だから、細かく商品説明をするよりも、心に引っ掛かる言葉がドンと並んでいるほうが絶対心に残ると思いました。「広告なんて、誰も見たいと思っていない」ということを忘れちゃいけません。だから、二度見してもらうとか、1週間に1回は見てもらうとか、目標を定めてコピーを書くといいと思います。「宣伝会議賞」でも、どういう状況でその広告が目に触れるか、想像しながら書くといいですよ。

「『時間がなかった』は一番カッコ悪い言い訳だよ。」

これは僕が、「宣伝会議賞」の応募者に向けて書いた言葉です。仕事が忙しくて全然応募できていなかった人が、締切前日にたまたま本屋でこの言葉を見て、家に帰って一生懸命に書いたそうです。そのとき書いたコピーの中から、「今彼より元彼に会いたい」(TBCグループ)がシルバーを受賞とのこと。コピーは一日あれば書けるし、それで賞が獲れることもあるという例です。

次ページ 「「本当に思ったこと」だけを書く」へ続く

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