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コラム

椎木里佳の「JCJKの生態と欲望」研究所

星遊国際×椎木里佳対談「15億人の市場規模を誇る、中国インフルエンサー事情」

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白熱する、中国のライブ配信事情。日本と中国にある“決定的な違い”とは?

椎木:中国ではライブ配信が非常に盛んだと伺っておりますが、どうして中国でここまで加熱しているのでしょうか?

Maxi:やっぱりエンゲージメントが一番のキーポイントかと思います。15億の人口がいるSNS上で、写真とテキストは誰でもできることなのであまり感動されない。距離感を感じられてしまうんです。

最初は男性のファンが、女性のインフルエンサーを応援することから火がつきました。

男性ウケの良い女性が、バーチャルギフトを受け取る。バーチャルギフトというのは、贈る側がお金を振り込んでバーチャル上で贈り物をする、という機能です。もらう側は換金が可能です。

それだけでも十分稼いでいける状況ではありましたが、それだけだとインフルエンサーの独り立ちやライブ配信での収益にしかならず、もっと規模の大きいことや、次の施策に繋がりにくい。ライブ配信からECで購買に繋げた方が配信者にとっては利益が出るわけです。

その流れから、2日で3億稼ぐインフルエンサーも出てきたりと、ライブECが加熱してきました。

ライブ配信だけを行うアプリはレッドオーシャンになっていて、一時期は200個以上ありました。どれを使って良いかわからない、まるで戦国時代ですね。ただそのブームは過ぎ去って、だいぶ落ち着いてはきましたね。

椎木:ライブ配信だけを行うアプリが落ち着いたのは、そこでモノを買う仕組みができていないからですか?

Maxi:それもひとつあります。そう行ったアプリは「お金を使って、人気のあるインフルエンサーに来てもらう」ことが主でしたが、それはあくまでも短期間で稼ぐモデル。キャッシュフローが持たないで潰れてしまうか、買収されるなどしていきましたね。

そういった流れが去年からあって、もう一循環したといったところですかね。

椎木:一循環ですか…!日本だと、ライブ配信は一般層にまで浸透していないように感じます。ここ1年でライブ配信アプリのローンチが増えた日本とはすごい違いです。この違いはどこから来るのでしょうか?

Maxi:Facebookが2015年にライブ配信機能をリリースしましたが、アジア各国で最後にリリースされたのが日本でした。そこから、もう伺えましたよね。グローバル企業からすると、「日本でライブ配信って大丈夫?」という疑問を持っている人がたくさんいるだろうと。

逆に台湾は一番早かったです。台湾のインフルエンサーは強気で、ライブ配信をしていても、言いたいことを言う。彼氏や旦那の愚痴など、そういうプライベートを話すんですよね。日本人のインフルエンサーは控えめのパフォーマンスですよね。プライベートをあまり話さない。

台湾ではそういったプライベートな話をするとファンとのエンゲージメントが上がるので、ライブ配信の内容にも国民性の差が現れているような気がします。

椎木:確かに、日本のタレントやインフルエンサーは、ライブ配信を自分から積極的にしている人はあまり多くないです。映画などのプロモーションのために事務所の方針でやっている印象。だから商品を紹介するにしても、それを本気で売る気があまりないように感じますね。

日本ではまだ商品が売れたとき、そのインフルエンサーにお金がしっかりと入る仕組みづくりができていないと感じます。インフルエンサーのモチベーションの作り方も違うように感じます。

Maxi:そうですね、まずはビジネスモデルをしっかり作り上げることが大切かもしれませんね。

(後編に続く)