コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

SHOWROOMの配信者に「出口」を用意したい(ゲスト:前田裕二)【後編】

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【前回コラム】「「新しい地図」とSHOWROOMには共通点がある(ゲスト:前田裕二)【中編】」はこちら

今回のゲストは、3週連続のSHOWROOMの前田裕二さん。SHOWROOMで叶えたい壮大な夢とは?

今回の登場人物紹介

左から、前田裕二、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)。

※本記事は1月25日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

SHOWROOMでラジオ番組を持つ理由

中村:前田君はTFMのラジオ番組「SHOWROOM主義」はなぜやってるの? SHOWROOMの1社スポンサーでしょ? ラジオは一応、オールドメディアじゃないですか?

前田:そうですね。大枠で言うと、ある種のレガシーメディアであるラジオと、ネットで新しいシナジーが生めたら面白いなと思ったのが1個あります。1個はSHOWROOMの配信者、演者と呼ばれる人達がラジオに対しての思いをまだもってる人が多いんですよ。

一同:へー!

前田:出口として機能するというか。ラジオに出たい人が多いんですよね。定期的にSHOWROOMの人気配信者を呼んではパーソナリティをやってもらったりしていて。SHOWROOM自体がいろいろなところでちゃんと出口を持っている、ということを担保していきたいと思ってるので、その一環という感じですね。

権八:SHOWROOMをやってる人達にとって何が「出口」なんですか? メジャーになるということですか?

前田:それもかなり分散してるんですよ。たとえば、オールドメディア、マスメディア、ラジオやテレビ、あるいはメジャーレーベルで曲を出すなど、いわゆるマスのことがしたいという人達も一定数いるんですけど、地元のカレー屋さんのイメージガールがしたいです、という夢を持った子もいるし、もっと身近に、まず私はボイトレからでいいんです、1カ月ボイトレに行けるということ自体が出口です、という人もいる。

みんながみんなメジャーに行きたいと思ってるわけじゃないことは感じているものの、SHOWROOMとしてはまずメジャーなところで出口を持つことで、メジャーってこういう景色なんだというのが見えるような状況はつくってあげたいと思ってるんです。SHOWROOMきっかけでメジャーデビューした子、テレビやラジオに出た子もたくさんいますし、その世界を知って、ここで生きていくためにはこういうことが必要なんだということを学んで、またネットの世界に戻っていったときの振る舞い方が変わるのかなと思っています。

これをラジオで言うのもアレなんですけど、僕はネット側で濃いファンを抱え、数百人でもその人のためだったらどこでも行きます、というファンがいることの価値って高いと思っているんです。その子が頑張って1対1を繰り返した結果、そうなっているわけなんですけど、そのことをあまり価値だと思ってない人が多いんですよ。絶対にミュージックステーションに出たい、出れば上がりだ、と。でも、意外とみんなミュージックステーション出てもバイトしてるよ、ということを知らないというか。

権八:そうですよね。

前田:メジャーはメジャーで偶像的な憧れであって、そこに行きさえすれば上がりなんだ、ということを思ったままそこを目指して、ひとたびメジャーに行ったときに「こんな景色なんだっけ?」と思うことって残酷じゃないですか。だから、両方の世界を早いうちに知ってほしいという気持ちがあって。

だから、SHOWROOMの中で人気になればメジャーの世界を体感できる。その後でメジャーの世界を体感すればするほど、今自分が持っているものの価値に気づくと思うんですよ。ファンがちゃんといて、認知されていること以上に人気があって、ライブすると数百人ぐらい来てくれて、ちゃんと毎月これぐらいの経済が回っていることって、実はメジャーの文脈で考えても、意味がある。

メジャー側では経済的なインパクトがシュリンクして、CDも売れなくなってますよね。メジャーデビューしたバンドでも1万枚売れたらすごいという話になっている、という状況の中で、毎月SHOWROOMで、それこそ数百万、1千万を売り上げられることがどういう意味を持つのか。たぶん理解してない子も多いんですけど、理解するにはきちんと両方を知ってもらうことが大事だと思ってるので。だからSHOWROOMで人気になった子達をメジャーの文脈にも押し上げて、ということはやったりしてるんですよね。

中村:生放送でいうと、当時はニコニコ生放送という巨大なものがあって。ツイキャスもあって、その中でSHOWROOMはどうやって今の時代を築くに至ったのか。結構苦労があったんじゃないですか?

前田:そうですね。トップも獲れないし、かといってテールを力づくで獲ってもあまりに労働集約的だからどうするんだ、と言ったときに、ミドルを頑張って労働集約的にとりまくるということをやりました。僕らはアイドルからはじまったので、それこそ100人ぐらいファンを抱えているレベルの地下アイドルと言われる人達が日本にはたくさんいるんですけど、そこのほぼ全事務所のリストをつくって電話して、対バンイベントなどに飛び込んで、媒体資料見せて、こういうのをはじめるのでやってくださいということを3カ月ぐらいやりまくって、それで増やしたというのがありますね。

権八:なるほど。

前田:ミドルが入ってきたら、ミドルに憧れるテールの子達が来てくれるので。それでトップも入ってきて、グルグル全体が回っていくようになって。僕自身が力を持ってるわけでもないし、逆に権力の偏りの構造を壊したいからやっているようなもので。偏っちゃうと努力がフェアに報われるということじゃなくなっちゃうから。単純に投じてもらった、このプラットフォームに捧げてもらった熱量がフェアにリターンとして返ってくる環境をつくりたかったんですね。

次ページ 「ウェブの競合サービスが“人”で差別化されるようになってきた」へ続く

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