コラム

国民総ダンサー時代前夜に考える、ダンスとクリエイティブの幸福な関係

「このダンス企画は、なぜあの人が振付なの?」はどう決まるのか

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意味や感情を表現するのが「コンテンポラリーダンス」

写真 飯野高拓(梅棒)

一方の表意的ダンスの例がコンテンポラリーダンス。そもそもコンテンポラリーダンスとはなんなのか?という明確な定義はなく、正確にはダンスジャンルではないのですが、ここでは何らかの意味や意思・感情を表現することを目的としているダンスだと思ってください。観客に伝えたいこと、感じてほしいことがあるのがコンテンポラリーダンスだと思います(アート的に『無意味という意味』を表現するケースも含む)。

近年最も有名なPVであろうこちらは、コンテンポラリーダンスと言えると思います。

 

このPVの中でこの少女は歌詞に表現されている女性の苦しみ、もがき、狂気のようなものを表現しています。

ダンステクニックだけでなく、日常のしぐさなどから踊りを作っていくのもコンテンポラリーダンスの持つ特徴の一つ。

そのため、広告で何か感情や内面を表現したり、意味(おいしい!、広い!、すっきり!など)を表現するのに向いている方向性と言えると思います。
また、いわゆる「面白ダンス」も広義のコンテンポラリーダンスでしょうか。面白い、楽しい、変、なポーズや動きでダンスを作っていくので。

大きく、表意的・表音的ダンスという二つの方向性について書いてきましたが、この中間に位置するダンスもたくさんあります。
私が所属するDAZZLEというダンスカンパニーは、この二つの要素を融合してオリジナルのスタイルを生み出すことを目指していますし、ストリートダンスが表意的になる、コンテンポラリーダンスが表音的になるというケースが増えているのも近年のトレンド。

私が企画した舞台に出演して頂いたこともありますが、おそらく現在日本で一番有名なダンサーであろう菅原小春さんも、ストリートダンスをベースに、より感情表現に重きを置いた、リズムだけでなく歌詞なども含めて表現することを志向しているダンサーだと思います。

 

まさに、現在話題ということで言えば、This is America のダンスもストリートダンスではありますが、コンテンポラリー的な演出も含んでいると思いますし、

 

米津玄師さんのこのPVのダンスはコンテンポラリー的に作られていますが、ご本人が持っているテクニックは一部ストリートダンスなのかなと見受けられます。

 

基本的には表意的・表音的成分の両方をどのようなダンスも含んでいますが、企画で表現したいことによってどちらに寄るべきかを決めるといいかと思います。

次ページ 「ダンサーの疑問「なんでこの企画に、この振付師なの?」に答えます」へ続く

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