日大広報の姿勢を問う!危機管理広報のプロ、4つの記者会見を分析

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奇異な緊急記者会見

そして23日。内田正人前監督と井上奨コーチが、夜8時から緊急の記者会見を行うというニュースが入ってきた。危機管理広報を専門としてきた私には、その会見は奇異なものに感じられた。

多くの国民や記者とっては、日大アメフット部選手の会見に対する前監督・コーチの反応を聞ける機会は歓迎すべきものだ。しかし、私は「広報がコメントを出した後での記者会見の目的とは何なのか」と、いぶかってしまった。通常、記者会見をやるならそちらが主になり、文書のコメントは補足的な位置付けになる。今回は広報のコメントの後追い会見という異例の形である。

二人の会見は、謝罪で始まった。

「(選手を)あんな気持ちにさせたことは、指導者として申し訳なく反省している」と前監督。「自分の未熟な指導と人間性により日大アメフット部選手をあんな状況に追いやってしまった。誠に申し訳ない」とコーチ。実は、これらは真の意味では謝罪の言葉ではなかった。その後の質疑応答で展開する二人の主張の自己正当化発言だったのである。なぜなら、日大アメフット部選手の具体的な発言に対して、何一つ具体的に反論していないからだ。言った、言わない、の水かけ論に持ち込もうとする戦略が見え見えだ。

前監督は「自分にはルールを逸脱してやってもいいという発想はなかった」「“信じてもらえないかもしれないが”私から反則行為は指示していない」「“これは言い訳になってしまうが”日大アメフット部選手の反則行為は見ていない」「日大アメフット部選手は私の近くまで来たが、“正直、本当に申し訳ないが”やらなければ意味がないと言っていない」などと、言い訳ともとれる枕詞を付けてプレーの指示を完全に否定。コーチも、「最初のプレーで、クォーターバックをつぶせと言ったが、ケガをさせろという意味で言ったのではない」「自分は日大アメフット部選手にいろいろなことは言ったが、ケガをさせろと言っていない」と主張した。

この会見内容や、「指導側と指導を受ける側との認識の乖離」が原因とする広報コメントは、一見、「自分たちにも責任の一部はある」と認めているような印象を与えるが、実際には、「傷害の加害責任は日大アメフット部選手ひとりにある」と決めつけているのである。選手に聞き取りもしないで、一方的に「乖離が原因」、すなわち、選手は自分たちの指導から「乖離」した理解と行動をおこない、相手選手にケガを負わせたと主張しているのである。

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