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“書く力”だけでは足りない? メディア企業で働く人にいま求められるスキルとは

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6月になり、就職情報サイトには2020年卒業予定の大学3年生向けのインターンシップ情報が多数、掲載され始めている。売り手市場と言われる近年は、採用競争が激化し、企業は優秀な人材を早々に確保しようとしているが、それはメディアやマスコミ業界も例外ではない。

こうした中で、次世代のメディアビジネスに対応できる人材の獲得・育成のために学生インターンプログラムに注力しているメディアも多い。今回は、東洋経済新報社とハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパンが実施している学生インターンプログラムについて話を聞いた。

文章力は必要最低限のスキル—東洋経済新報社の場合

東洋経済新報社では、採用も見据えた形でのインターンシップを編集部門とデジタル部門で実施している。実施の時期は12月~1月で、1回の人数は20人程度。事前にエントリーシートを提出してもらい、選考の上実施している。期間は1~2日間と短いが、編集部門では実際に記事を執筆し記者として働く社員から添削を受けたり、グループワークで『週刊東洋経済』の企画コンテストに参加できたりと充実した内容になっている。

また、同社では近年ウェブメディア「東洋経済オンライン」の売上が大きく伸びていることから、デジタル部門のインターンシップも実施している。人材開発部長の大滝俊一氏は、「デジタルビジネスの意義や新たなビジネスアイデアを考えるといったプログラムを通じて、世の中の流れを察知し変化できる人材を育成したい」と話す。

デジタル領域のリテラシーも重視する一方、そこは歴史のある出版社。エントリーシートには作文的な要素を織り込むなど文章力も重視している。「出版社である以上、どの部署にいても文章を書く機会はある。これからは書く力があるという前提の上で、データも使いこなせるような人材を求めています」。

時代の変化を察知し、新しいビジネスを考える
— ハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパンの場合

『ELLE(エル)』『25ans(ヴァンサンカン)』などのファッション誌で知られるハースト婦人画報社では、8月から1カ月ほどの中期型インターンシップを実施している。各雑誌の編集部やデジタル部門、SNSを運用する部署など様々な部署で受け入れており、エントリーシートや面接を通じて適性を判断し決定する。全社で約15人程度のインターン生を受け入れている。

インターン実施中、学生は週2回以上出社し、各部署で編集作業やSNS運用などのサポートを行う。同社の場合は、長期間のインターンを通じて出版業界、そして同社に興味を持ってもらうことを目的としている。インターン終了後、アルバイトとして引き続き就業するケースもある。また、学生が普段どのようなメディアに触れているかを知ることができたり、若手を育てる経験をすることで社員が教えるスキルを身に付けることができたりと、企業にとってもメリットがあるという。

人財開発部長の池原亜矢子氏は、「当社はいまデジタルビジネスを伸ばし、イノベーションに注力している。コンテンツの質は維持しながらも、純粋な編集力だけでなく新しいメディアビジネスに挑戦していける人材を求めている」と話す。

いま求められているスキルとは

インターネットの普及によって紙媒体の市場が縮小し、「編集さえできればいい」という考え方ではなくなってきている。また、SNSなどを使って誰もが発信者となれる今、メディアや編集者の意義自体も見つめ直す必要がある。

これからメディアで働く人材には、データ活用や新たなメディアビジネスを考え、「売れるコンテンツ」をつくるスキルが求められている。