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通勤電車で妄想ツイートを始めたら「書く道」が開けた、夏生さえりさんの半生とは

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きっと、この先の未来も悪くない

たしかに正面突破ではなかった。書籍に載っているような、“ライターのなり方” には似ても似つかない。どんな大人に聞いても、こんな方法は教えてくれなかったと思う。でも、“書く” への道は、いろいろなところから開かれていた。10年前のわたしにはまったく想像もできなかった方法で、いまわたしは書くことを仕事にしている。

特別な野心はない。有名になりたいとも思わない。ただひとつ、これだけたくさんのコンテンツがあふれているなかで、読んでくれた人が少しでも“はっぴー” になるものをつくりたい。ただそれだけで、今日も文章を書いている。

あのころ想像できなかった場所にいるから、この先の未来も悪くないと思える。もし書きたいと願いながらも諦めかけている人がこれを読んでいるなら、正面突破だけでない方法があることを是非知ってほしい。それはわたしと同じ方法という意味ではない。まだ誰にもわからない、何か予想もしない方法。いま想像ができなくても、諦めないで。目の前のことを焦らず、夢を捨てきらず、ひとつひとつ重ねていけばいつか入り口が待っている。あのときの、夕暮れ時の部屋に佇むわたしに、今ならこう声をかけたい。

「わからなくて当然だから、とにかく前へ進みなさい」。

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夏生さんがこれまでに刊行した書籍4冊の装丁はすべてブルー。その理由を聞くと「私が雨が好きと公言していることもあり、編集者さんが雨の色のブルーにしてくれているようです」。雨が降ってきたときに、「憂鬱だな」ではなく、「紅茶でも飲みながら部屋でゆっくりしよう」と前向きに捉えられる心の余裕を持っておきたいんです、という。最近では「雨が降ったらさえりさんを思い出す」というファンもいるそうだ(編集部)


『編集会議』2018年夏号では、「大家さんと僕」をはじめとする2018年上半期のヒット書籍の裏側を多数取材。巻頭特集では「“書いて、書いて、書いて、生きていく”という決断」と題し、塩田武士さん、上阪徹さん、藤田祥平さん、燃え殻さん、夏生さえりさん、高氏貴博さんの人生に迫っています。
 

 

『編集会議』2018年夏号もくじ