志を持った編集者は、迷えるコピーライターに何を聞く?

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10月12日、宣伝会議 関西本部セミナールームにて、10月20日より始まった「コピーライター養成講座」と、12月15日より始まる「編集・ライター養成講座」主催のMEET UP特別セミナーが開催された。

両講座の共催は関西では初めて。登壇したのはクエストルーム代表取締役のベテラン編集者・石原卓氏と、6月に初の著書『迷子のコピーライター』を出版した電通の名物コピーライター・日下慶太氏。

テーマは「志を持った編集者は、迷えるコピーライターに何を聞く?」。
“言葉を扱う”という共通点を持ちながら、アプローチの方法が異なるコピーライターと編集者、ライターの仕事。それぞれの役割や違いを探るべく、「編集・ライター養成講座」大阪教室の講師を長年務める石原氏が、日下氏に取材を行うような形式で話が進められた。

冒頭で「日下さんは、いわゆるクリエイティブのコピーライターとは一線を画す存在」と石原氏。世界を放浪して電通に入社した経緯や、新人時代の葛藤(※波乱万丈な詳細はぜひ著書を読んでいただきたい)に触れながら、話題は大きな反響を呼んだ『商店街ポスター展』の取り組みへ。

「商店街ポスター展」で掲示された作品。シャッター商店街の活性化を目的とし、大阪の新世界市場から始まった施策だ。

日下氏が大阪の「新世界」や「文の里商店街」で実際に展示された作品を紹介。それぞれのポスターに込められた意味や製作過程を解説しながら、「コピーは言葉が短いことが大前提」と前置きしたうえで、「物事をどう見るかという“視点”がコピー。例えば今手元にあるペットボトルの水を、自分の視点で見るのか、山の視点で見るのか、企業の視点で見るのか。子どもの視点か、おじいちゃんの視点か…どれだけ多くの視点を持てるかが重要」と話した。

コピーのセオリーについて「新人時代の研修で『広告は誰も見ないと思って作らないとあかん』『永遠の邪魔者』だと徹底的に教え込まれた。実際の現場では異なる場合もあるが、ひとつの写真にひとつのコピーが基本。CMなら15秒、ポスターなら短い一文で、どれだけ人の心をつかめるかが勝負」と強調。

一方で、石原氏も「僕らも『誰も読んでくれないだろう』という前提で記事を書いている。どれだけ名文を書いても読まれないと意味がない。どちらも読まれたもの勝ちの世界。特に記事の『見出し』はコピーの考え方と似ていて、一目で『読みたい』と思わせる言葉を常に模索している」と共通点を説明。「『編集・ライター養成講座』で“伝える力”を学んだ後、『コピーライター養成講座』を受講する人が多いのは、“より強い言葉の力”を知りたくなるからだと思う」と話した。

「コピー自体にも時代の変化があるのか?」との石原氏の問いに「基本的には大きく変わっていない」と幾つかの広告を例に挙げ、「良いコピーはいつの時代も写真とコピーの距離感が上手い。写真に一言添えることで足し算、掛け算にもなるのが良いコピーだと思う。コピーはセンスではなく訓練。過去の名作を読みながら感覚を体得することで鍛えられる。今でも毎年発刊される『コピー年鑑』などを読んで勉強している。良いコピーの距離感を自分の感覚として積みあげることが大切」との日下氏の意見に、石原氏も「僕らの仕事もアウトプットしてこそだ」と大きく頷いた。

後半はお互いが影響を受けた本とCMを紹介。世代は異なる二人だが、特に広告が華やかだった1980年代について「広告が一番自由な時代」と振り返り、当時のCMを実際に映像で観ながら意見を交わした。

そして最後は「これから求められる両者の役割」についての話題に。

石原氏が「編集ライターは紙媒体からWEBへ。コピーライターはマスから地域へと活躍の場が変動しているように感じる」と指摘。日下氏は自身の根底に“東京へのアンチテーゼ”があるとし、「東京にクリエイティブが集中しすぎ。供給過多。もっと地方へ供給しなくてはいけない。地方に課題が山積みだから。最終的な武器は言葉の力だけど、言葉だけで世の中を変えられるほど甘くはない。言葉が効くステージ自体をコピーライター自身が作らなくてはいけない。編集ライターも同じように記事だけを書くのではなく、もっといろんな言葉のあり方を追求していってほしい」と話した。

時代の半歩先を伝える編集ライターに対し、時代の真ん中を言葉で表現するコピーライター。言葉に対するアプローチ方法に違いはあるが、同じ言葉を扱う仕事としての共通点は多い。宣伝会議の「コピーライター養成講座」と「編集・ライター養成講座」は、現場の第一線で活躍する講師陣から実践に近い課題に取り組み、繰り返しアウトプットできることが特徴。講師から課題のフィードバックを受け、研鑽を積むことで、“言葉の力”や“伝える力”が磨かれていく。

「まずはコピーライターと編集者・ライターのどちらの仕事にも興味を持って欲しい」と石原氏。「どんな仕事においても“言葉の力”は欠かせない存在。言葉の仕事に興味のある人は決して批評家にならず、どんどん実践してアウトプットして欲しい」と締めくくった。

石原 卓(いしはら・まこと)
クエストルーム代表取締役/140B取締役

1963年神戸市生まれ。ミュージシャンを目指すが大学卒業と共にぴあ入社。
広告部、編集部を経て同社各誌編集長を歴任後、1996年同社退社と共にクエストルームを創業。大阪を中心に東京、名古屋などに拠点を置く。現在は江弘毅らと編集集団140Bの経営にも携わり、関西大学社会学部で教鞭(講師)など、編集エリアを越えて様々に活躍中。2001年から宣伝会議編集・ライター養成講座大阪教室の講師を務める。

 

日下慶太(くさか・けいた)
電通関西支社 コピーライター・写真家など

1976年大阪生まれ大阪在住。大学時代にユーラシア大陸を陸路で横断。チベット、カシミール、内戦中のアフガニスタンなど世界をフラフラと旅して電通に入社。商店街のユニークなポスターを制作し町おこしにつなげる「商店街ポスター展」の仕掛け人。コピーライターとして勤務する傍ら、写真家、UFOを呼ぶためのバンド「エンバーン」のリーダーとして活動している。6月に初の著書『迷子のコピーライター』を出版した。ツッコミたくなる風景ばかりを集めた『隙ある風景』も日々更新。都築響一氏編集「ROADSIDERS’ weekly」でも写真家として執筆中。佐治敬三賞、グッドデザイン賞、東京コピーライターズクラブ最高新人賞、朝日広告賞、ゆきのまち幻想文学賞ほか多数受賞。

 


大阪校では10月より「コピーライター養成講座」が、12月より「編集・ライター養成講座」がそれぞれスタートする。

それぞれについて、詳しくはこちら。
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