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仕事を楽しみ、仕事で遊び、「自由な働き方」を手に入れる

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楽天大学学長の仲山進也さんは、楽天の社員でありながら兼業も勤怠も自由に認められて働いています。そんな仲山さんは今年6月、働き方の本『組織にいながら、自由に働く。』( 日本能率協会マネジメントセンター)を出版されました。『予定通り進まないプロジェクトの進め方』の著者 前田考歩さんが、自由に楽しく仕事をする方法を仲山さんに聞きました。

左)前田 考歩 氏
右)仲山 進也 氏

仕事の効率を上げるのは「環境」より「気持ち」

前田:仲山さんは『組織にいながら、自由に働く。』で、自由に働くための方法論「加減乗除の法則」を提唱されています。簡単に説明しますと、
「加」は、未知の内容でもとにかく量をこなし、できることを増やすステージ。
「減」は、好みではない作業を減らして、自分の強みを磨いていくステージ。
「乗」は、磨き上げた自分の強みと、他者の強みを掛け合わせるステージ。
「除」は、一つの作業をすることで、複数の仕事を同時進行できるステージ。
働き方は「加」から始まり、「除」にたどり着いた時に自由な働き方が手に入るわけですね。

仲山:自由という言葉は「わがまま放題・好き勝手」という意味で使われがちですが、僕は「自分に理由がある」ことだと定義しています。対義語は、他人に理由がある「他由(たゆう)」です。そういう意味でとらえると、除にたどり着かなくてもよくて、人はいつでも自由になれると思っています。

前田:たしかにそうかもしれませんね。ちょっと仲山さんに聞いてみたいことがあって、実は今日、うちの6歳になる娘が初めて洗濯物を畳んだのです。普段は私や妻がしていて、畳んだ洗濯物は人別に分けて、それを決められた場所に収納しています。しかし娘は、畳んだ洗濯物を人物ごとに分け、さらにそれを収納場所ごとに分けたのです。もちろん私も妻も娘に指示はしていません。なぜそんなことをしたのか尋ねたら、娘は「わかんない」と。

残念ながらパパに楽をさせたいという気持ちからではなく、畳んだ洗濯物は収納するという見通しがあったからそうしたのではないか。こんな風に、言われた仕事だけをやるのではなく、仲間の仕事に橋をかける行動が自発的にできるようになれば、非常に効率よくプロジェクトは進むはずです。どうやればチームの働き方をそんな風にできるのでしょうか。

仲山:人から言われた仕事でも、自分で考えて「やる意味」が見出だせれば、自分に理由があるので「自由」に転換できていることになります。いいチームは、みんなが「自由」になれています。かつ、全体像がわかっていると、次工程の人のための「アシスト」をしやすくなります。アシストしてもらった人は、うれしいのでアシストを返したくなります。そうやってチームワークが生まれていくわけです。

前田:そうか、みんなが他由だとアシストが生まれにくそうですね。

仲山:そうですね。あと「余裕」も重要です。気持ちに余裕がないと自分の仕事ではないところまで気がまわらないでしょうから。

前田:そのためには働く環境を整えなければならないと思うのですが、どう整えればいいのか…。

仲山:重要なのは「環境」というより「考え方」です。最近、長時間労働は悪いと言われていますが、どう考えてもやる意味を見出だせない他由な仕事を嫌々やっていると短時間でも心身によくないと思います。逆に、夢中でやれる楽しい仕事だったら全然苦になりません。まさに僕が楽天に転職した時がそうでした。仕事が面白くてしょうがなくて、いっぱい働きました。

前田:その当時の仲山さんは「加」のステージですよね。

仲山:そうですね。事業もスタートアップだし、メンバーもほとんど20代だったので全体的に「加」な感じでした。

前田:プロジェクトの場合はいろんなステージの人がいます。ですから個々のメンバーと相対する時は、スキルだけで判断せずに、その人のステージを考えた方がいいでしょうね。そうすることでより適材適所の配置ができそうです。

仲山:加減乗除のステージを共有できると、「今あなたは加のステージだから、いろんな仕事をどんどん覚えていこう」「わかりました。ずっと続くわけじゃないんですね」というように、納得感のある状態がつくりやすくなると思います。

次ページ 「エンドユーザーに会えば仕事は楽しくなる」へ続く