周囲を巻き込むマーケターの共通点とは?
第2部のパネルディスカッションでは、「マーケターの多様な働き方―企画を通すための奮闘ものがたり」をテーマに東京個別指導学院 マーケティング部部長の早川剛司氏とビーケージャパンホールディングス(バーガーキング)のチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)である大谷弘子氏が登壇。モデレーターは宣伝会議の谷口優が務めた。
テーマはマーケターの「多様な働き方」「環境適応能力」について。二人は、ともに複数の会社でのマーケティングの仕事を担当している。新しい会社に移籍した際、あるいは同じ会社内でも異なる部署に異動した際、マーケターはどのように環境に適応して、パフォーマンスを発揮できる土壌をつくるかが本セッションのテーマだ。
食品業界を中心に、様々な会社でマーケターとして実績を重ねてきた大谷氏、教育業界で2社のマーケティング部門を経験した早川氏。二人の共通点として「現場をよく見る」「好奇心が旺盛」という2点が見えてきた。
大谷氏は「人を観察するのが趣味とも言えるくらいによく観察している。自社の店舗には頻繁に足を運ぶし、メーカー時代にも自社の商品が売られている店舗を見て回ることが習慣だった。実際に消費者の方を観察すると、データだけではわからないことも見てくる」と話した。
早川氏もベネッセにグループインした東京個別指導学院に出向した際、「これだけ教室に通うマーケティング担当は、これまでにいなかった」と周囲の社員に言われたというが、それが周囲に適応していく上で重要だったと考えているという。
「キャリアで入職したら1カ月が勝負だと思う。まず、その会社が大事にしているビジョンを理解し、大切にすることがポイント」だといい、そのためにも「現場を知ることが大切だった」と話す。
これに関連し、大谷氏も新しい会社に移籍した際は、まずは聞き役に徹することが大事と説明。「なんでですか?どうしてですか?と、積極的に聞いていく。相手を理解したという気持ちを感じてもらえると、こちらの話も聞いてもらえるようになる」と話した。
大谷氏が提示したような、人に対して真摯に向き合う姿勢も大事だが、情熱や気配りだけでは周囲を動かせない場面も多々発生するのがマーケティングの難しいところだ。大谷氏は「相手に合わせてコミュニケーションの仕方を変える柔軟性が必要。女優になった気持ちで、相手に合わせたコミュニケーションができるように考えている」と話し、情熱だけで通用しない相手には、客観的なデータを提示したプレゼンテーションを行うなど、相手にあわせたコミュニケーションの方法を常に考えている」という。
周囲を巻き込むためのアプローチとして早川氏からは、「その仕事に取り組んだ後の状態をイメージとして、みんなと共有する。そしてそのストーリーに、とにかく自分自身がワクワクし話しをするようにしている」と話す。この考えに大谷氏も同調。さらに「企画に最も反対をしそうな人から、声をかけて巻き込むようにしている」という秘策も紹介した。
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