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コラム

いい企画のつくりかた

まずは課題理解 アイデアはそこから逆算する

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【前回コラム】「同じ環境では、空気もアイデアも淀む」はこちら

「いい企画」をつくるためのヒントを「販促会議企画コンペティション(販促コンペ)」の審査員に聞きました。

販促会議5月号にて、第12回 販促コンペの課題を発表しました。

版権:adiruch/123RF 写真素材

皆さん、こんにちは。ジェイアール東日本企画の中里栄悠です。ここ数年、「販促会議企画コンペティション(販促コンペ)」の審査員を務めています。本コラムでは、毎年数え切れないほどの企画書を読んで感じたことをもとに、「いい企画のつくりかた」について、お話ししたいと思います。なお、ここでの「いい企画」とは、「販促コンペ」に勝つ企画という意味です。

さっそくですが、コンペではオリエン後の“初動”がとても重要ですよね。販促コンペでもいきなりアイデアを考えたいところですが、少し立ち止まって課題の背景について考えてみてはいかがでしょうか。なぜいまその企業から、その課題が出されたのか。その理解度で企画はずいぶん変わってくるはずです。

(課題を理解する上で)3C分析(顧客 Customer、競合 Competitor、自社 Companyの3つの分析から戦略を策定するフレームワーク)をするのもひとつの手です。また、その企業が過去にどんなプロモーションをしてきたのかも知っておくべきです。既に協賛企業が実施済の企画であってはなりませんし、協賛企業の傾向を知ることにもつながります。過去の事例を網羅的におさえることは難しいと思いますが、販促会議のバックナンバーを確認したり、Web検索をかけたりすることも有効です。

ターゲットはすでに設定されているケースが多いと思います。そのターゲットがいま、どんな価値観を持ち、課題となった商品やサービスに関して、どのようなインサイトを持っているのか考えてみましょう。それが企画の立脚点になり、しかも企画に説得力やオリジナリティを与えることにもなります。ターゲットについての情報がなければ、ターゲットに近い人に話を聞いてみると、思いもよらない発見があるかもしれません。

以上、割と真面目な下準備についてお話ししましたが、もちろんこのコンペで一番大切なのはアイデア。手前の部分をやりすぎると逆に身動きが取れなくなるので、ほどほどがいいと思います。

アイデアの発想法としてここでは「逆算」の発想をおすすめします。まず協賛企業の課題が解決されている理想の状態について具体的に考えてみて、そうなるためにはどうなればいいのか、ということをさかのぼって考えていく。このアプローチはけっこう有効だと思います。

ところで、このコンペではどのようなアイデアが「いい企画」として評価されるのでしょうか。もちろん協賛企業の課題解決になるアイデアであることは言うまでもありませんが、それに加えて、何かしらの“新しさ”や“驚き”のあるアイデアでなければならない、と私は思います。課題を出した企業はその商材について常日頃考えを巡らせています。そのような相手の膝を打つような視点や強いアイデアが求められていることは意識しておくべきだと思います。

一方で、フィジビリティについても十分意識すべきです。実現することが困難な提案は、コンペを賑やかすことはあっても選ばれることはありません。もちろんスレスレを狙った企画には魅力がありますが、どう見ても実現不可能なものは評価されることはないと思います。

さて、最後に企画書の話をさせてください。審査員がひとつの企画の審査にかけられる時間は限られています。そしてこのコンペはプレゼンのチャンスもありません。企画書で全て判断されてしまいますので、徹底的にこだわるべきです。その中で私が特に大事だと思うことを2点あげさせていただきます。

1点めは「企画書はシンプルに」。

これは、よく耳にすることではないでしょうか。私も企画を考え尽くせば、企画書は必然的にシンプルになっていくものと思っています。時折、頭の中の引き出しをすべて開け、散らかしたような企画書を見かけますが、企画書の中に本当に盛り込むべき要素は何か、もっとわかりやすくできないか、といったことをしっかり考えてほしいと思います。

2点めは「企画書はストーリーに」。

具体的に言えばスライドとスライドとのつながりを意識し、企画書がひとつの物語になるようにするべきです。説明する順番も大切です。たとえば「販促コンペ」であれば「与件の整理/課題の解釈」「問題意識/戦略的視点」「コア・アイデア」「具体的なプランの詳細」という順番だと、読み手はわかりやすいと思います。それぞれのパートを過不足なく書く、バランス感覚も求められます。

本コンペは企画書が全て。しっかり考えて書きましょう。余談ですが、私は企画書を“寝かせる”ようにしています。書いてすぐ提出するのではなく、次の日の朝に読んでみる。そうすると思わぬ発見があったりするので、おすすめです。

このコンペは「アイデアがKING」ですが、本コラムでお話した通り、そのとっておきのアイデアを「いい企画」として光り輝かせるための工夫もこのコンペでは求められていると私は思います。

ことしも、たくさんの「いい企画」に巡り会えることを楽しみにしています。

ジェイアール東日本企画
コミュニケーション・プランニング局 プランニング第一部
シニア・ストラテジック・プランナー
中里 栄悠氏

メーカー、小売、サービスなど幅広い企業のコミュニケーション戦略を担当。生活者の「移動」にフォーカスした研究プロジェクトのリーダーを務める。著書に『移動者マーケティング』(日経BPコンサルティング/2012年)。

 

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