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オリエンからオンエアまで3週間!登録ユーザー数が3.2倍になった「ポケットマルシェ」のテレビCMの舞台裏

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LampTokyoは、2018年11月に設立されたマーケティングとクリエイティブのサポートカンパニー。企業やブランドのマーケティングにおける戦略立案から企画、その後の各種プロモーション施策やクリエイティブの制作などを包括的にサポートしている。2020年5月には農水産物の直販プラットフォーム「ポケットマルシェ」のプロモーションを手がけた。LampTokyoの代表取締役CEO 的場敬紀氏とポケットマルシェの取締役COO 山口幹生氏が今回の施策を振り返った。

左から、ポケットマルシェの取締役COO 山口幹生氏、LampTokyoの代表取締役CEO 的場敬紀氏。

生産者と消費者をつなぐプラットフォームの使命として、急遽テレビCMの放映を決断

—ポケットマルシェは具体的にLampTokyoとどのような仕事をされているのですか。

山口:当社では一次産業の生産者と消費者をつなぐプラットフォームである「ポケットマルシェ」を運営しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、農水産物の売上に影響が出る中で、急遽テレビCMを放映することを決定。戦略立案からクリエイティブまでをLampTokyoさんに相談しました。

LampTokyoが企画制作して放映されたテレビCM。

私たち、ポケットマルシェはつくり手の思いを消費者に伝え、販売や配送をサポートすることで、農業や漁業、酪農などの一次産業を持続可能なものにできればと考えてサービスを提供してきました。今回、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの人が外出を控えるようになり、飲食店に農水産物を卸している農家や酪農家、漁師が大きな打撃を受けてしまいました。そこで3月上旬にはポケットマルシェ上に「#新型コロナで困っています」というハッシュタグをつくり、影響を受けている生産者の支援を始めました。

その動きがテレビの情報番組などで報じられ、ポケットマルシェの注目度が一気に上昇しました。これまでポケットマルシェを利用していた消費者は食の問題や食材に関心の高い人が多かったのですが、広く一般の人にも認知され利用してもらい始めました。そこで、生産者と消費者がつながることに対して、ここまで社会的に注目が集まるのは100年に一度あるかないかのことではないかと感じ、テレビCM出稿を決めました。

しかしプロモーションに関して当社は経験が豊富ではなかったため、LampTokyoの的場さんに相談しました。実は的場さんは私とは新卒で就職した企業の同期入社で、以前からプロモーションに限らず話し合う間柄でした。的場さんは大企業で広告主としてマーケティングを担当していたので、発注側の論理も理解しながら、今はそれをサポートする受注側になっていて、いわば両方の立場を理解して企画できる。これは最終的にLampTokyoさんに依頼することになった理由でもあります。

的場:最初は元同期である友人からの相談を受けている感じだったので、実際に広告を打つ、しかもテレビCMを放送すると聞いたときは驚きました。しかしポケットマルシェさんの熱い思いを聞き、サポートさせていただくことになりました。

通常、テレビCMはオリエンからオンエアまで少なくとも3カ月はかかるのが通常だと思いますが、今回はなんと最初のオリエンを聞いてからオンエアまで3週間しかありませんでした。その中で重要なのはクライアントが何をしたいのかを理解し、それに合った提案をするというやりとりを繰り返し、企画の制度を高めていく工程です。本来はそこに時間をかけるのですが、今回は1週間もありませんでした。そのような短期間でも実現したのは、山口さんと旧知の間柄でよく話し合っていたこともあり、ビジネス状況や課題への理解が素早くできたことと、ポケットマルシェの代表取締役CEOの高橋博之さんが最初の会議で前面に立って思いを伝えてもらえたことが大きかったです。トップの意向を知って方向性がはっきり見えたため、短期間で企画制作を完了することができました。

CM撮影現場には、ポケットマルシェの代表取締役CEOの高橋博之氏(左)も駆けつけ、生産者と直接会話を交わした。

パートナーとして課題に向き合い、施策へとつなげるLampTokyoのサポート

—LampTokyoさんだったから実現できたこと、依頼して良かったと感じることは何でしょうか。

山口:私たちが大事にしようとしているものを理解してもらえたことが一番大きいですね。実は当社のサービスの価値を伝えようとするときに、何をキーワードにすればよいのかずっと悩んでいたのです。私たちが伝えたい社会的な価値は、生産者と消費者が直接つながることから生まれる楽しみや幸せです。でも、その情緒的な価値は短期的には届きにくい。

一方でポケットマルシェを利用した消費者が感じる価値で一番多いのは「おいしい」というものです。この2点を両立させて見せるためにはどのようなクリエイティブが良いのか。当社が抱える問題意識を理解していただき、考えてもらえました。

本来であればどちらかの価値を選ばなければいけないところを、私たちの立場に立って、戦略を組み、両立させる形でクリエイティブに落とし込んでもらえたのはLampTokyoさんに依頼して良かった部分です。

的場:かつて広告主側にいた時代から、広告業界の仕組みとして、クライアントの要望に広告会社が応える、いわば一方通行的なコミュニケーションの流れがあると感じていました。そうした経験もふまえて、私はクライアントと「パートナー」として向き合うことが大切だと考えています。

マーケティングやプロモーションで成果を出すためには、短い時間で密な議論が必要です。コミュニケーションの過程で「違う」と感じることがあれば、反対意見を言うこともあります。例えば「テレビCMをつくってください」と依頼があったとしても、最初は「なぜテレビCMをつくりたいのか」から話を始めるべきだと考えています。その議論からクライントの意向を汲み取り、適切な企画や施策の提案をしていくのが私たちのポリシーです。

基本的には事業主の立場になって、マーケティング戦略から企画の立案、クリエイティブ制作や掲出するメディア選択を考えることが一番のメリットだという思いで仕事をしています。

ポケットマルシェさんの事例で言えば、長期的な視点でのブランディングではなく、今という状況ですぐに新規会員を増やしながら、会社の思いも伝える必要がありました。視聴者にはポケットマルシェを初めて知る人も多いと思っていたので、自己紹介のような内容に加えて「面白そう」と感じてもらい、そこにいかに刈り取りの要素を加えるかに悩みました。そこでクリエイティブでは消費者へ向けて、ポケットマルシェという企業や社員のアイデンティティをストレートに表現しました。生産者の思いだけではなく、スマートフォンでつながり、それを受け取るところまでがポケットマルシェのカラーだということを意識しています。

売上だけではなく生産者や消費者の思いを刺激することに成功

—テレビCMの反響や効果はいかがでしたか。

山口:1カ月あたりの流通額はテレビCM放送前から伸びていましたが、放送後さらに伸びて約14倍になりました。消費者側の動きとしては新規ユーザーも増えていますが、休眠状態だったお客さまが改めて使い始めるという動きもあります。

生産者の登録希望も約5倍に拡大しました。既存の生産者のロイヤルティも向上しています。生産者から、「“お買い得”という言葉を使わないECのCMを初めて見た」という声がありました。食材が「消費財」として扱われていると感じていた生産者に、私たちが違う価値を提供しようとしていることを実感してもらえた、私たちのスタンスを理解してもらえたことも大きな効果だと感じています。

的場:売上は当然ですが、放送開始後1〜2週間はソーシャルメディアの状況も追いかけています。今回の事例はいわゆる「はじめましてCM」なのですが、こうしたケースではそこまで大きな反響はないことが多いんです。新規入会は増えても、そこから発信までにはいたらない。しかし今回は「ポケマルがCMをやるとは感慨深い」といった発信もありましたし、「実際に買ってみた」という人もいた。行動をソーシャルメディアで発信するほどの強い思いを持ってくれた人が多かったという点は予想を超えていましたし、効果についての手応えも感じました。

—今後、LampTokyoさんはどのような方にサービスを利用してもらいたいですか。

LampTokyoの代表取締役CEO 的場敬紀氏。

的場:世の中にはポケットマルシェさんのように、魅力があるけれどまだ多くの人に認知されていない商品やサービスがたくさんあり、そうしたヒト、モノ、コトに光を当てたいと考え、LampTokyoを立ち上げました。「ランプ」と名乗っているのはこれが理由です。マーケティングに取り組みたいと考えても、やり方がわからない、宣伝担当者がいない、予算が十分でないなどの理由で機会を逃している会社は多いと思います。そのような会社をサポートし、脚光を当てることで、日本の未来を拓くことが私たちの喜びです。企業やブランドが抱える課題は多種多様です。そこでまずは私たちと一緒になって課題を抽出し、戦略を練って、成果につなげたいと思う企業の方々にご相談いただければと思います。


お問い合わせ
株式会社LampTokyo
https://lamptokyo.com/