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テレビに「ムダな枠」は本当に存在する? セグメント・マスメディアへと変化するテレビ

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この数十年で人々の可処分時間は大きく変化し、多様化が進んできたが、コロナ禍でその状況は加速した。
本当に届けるべき相手にリーチするためには、今どのようにデータ活用を考えればよいのだろうか。
購買情報を基点とした視聴データを分析する、CCCマーケティング TVデータ企画ユニット長の橋本直久氏に話を聞いた。

月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)では「進化するデータと取引プラットフォーム 『テレビ広告』新時代」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

番組コンテンツを中心としてCMが溶け込んでいく世界

マスメディアであるテレビは、様々なデバイスやプラットフォームが動画コンテンツを提供し始めた結果、動画利用スタイルも多岐にわたり、いまや「セグメント・マスメディア」に変容していると考えます。そのセグメント内で瞬間最大のリーチを実現できるのが、テレビの最大の価値。しかし、そのセグメントの捉え方は、もっと進化させることができるはず。従来のデモグラフィック属性の情報だけで行うメディアプランニングからの脱却を目指す必要があると思っています。

私たちはいま、Tポイントの購買情報を基点に、その人がどのコンテンツや広告を見ていたかという視聴データを掛け合わせることで、効果的なCM出稿のプランニングを提案しています。例えば、衣料用洗剤は、35~49歳の主婦、いわゆるF2層をターゲットとすることが多いかと思います。しかしT会員の年間購買者74%の内訳を細分化すると、そのうちF2層はほんの25%。それ以外の7割以上の購買者には、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。

テレビ局のスポットCMの販売パターンには、朝+昼+夜+休日の「ヨの字」や、朝+夜+休日の「コの字」といった複数の運用体系があり、それぞれにF1、M1といったターゲットが想定されている。しかし昼と深夜では、視聴率上は同じでも視聴者の内訳は異なります。

以前、缶コーヒーブランドのプロモーションのためのテレビ出稿プランを検討したことがありました。ターゲットとなる「甘いコーヒーを購入している土木作業員の方」は、朝5時台のテレビを見ていることがわかりました。早朝のように視聴率が低い時間帯でも、ブランドによっては非常に効果的な枠が存在するのです。あるいは見逃し配信の視聴データを分析すると、ゴールデンタイムよりも深夜帯の方が注視している割合が高くて、翌日の購買が跳ね上がっているという状況も見えてきました。

その点では、いまテレビ局側も徐々に変わりつつあり、販売方法も、より広告主の考えに合致したものになってきているように感じます。

消費者の利用シーンにあわせ、活用するメディアを見直して、メッセージも変えていく。そうして番組とCMの対象顧客が合致したクリエイティブになっていくと、この先、視聴者にきちんと受け入れられるCMが増えてくるのではないでしょうか。そして、従来のフォーマットだけでなく、例えばプロダクトプレイスメントなどの番組内での露出や、ドラマの登場人物が出演するCMなど、よりコンテンツの「中」に入り込んでくる。あるいはデバイスを横断して、番組を軸とした商品の訴求・利用がされる仕組みが実装され、文字通り“広く告げる”ためのコンテンツとして、機能していくのではないでしょうか。

CCCマーケティング
TVデータ企画ユニット長
橋本 直久 氏

 

月刊『宣伝会議』3月号(2月1日発売)

巻頭特集
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特集
進化するデータと取引プラットフォーム 『テレビ広告』新時代