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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

菅田将暉、有村架純主演 映画『花束みたいな恋をした』の監督が明かす作品づくりのコツ(ゲスト:土井裕泰)【後編】

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監督の仕事は場の空気づくりが8割

澤本:土井さんの映画に出てくるキャストの人たちは、ものすごく良く見えるんだよね。

中村:うん。

澤本:今回、有村架純さんを見ていて、あっヤバいと思ったのよ。「ああ、好きになっちゃう」と思っちゃったの(笑)。

土井中村:(笑)。

澤本:好きになっちゃうっていう感じを持たせられちゃったんだよね。なんかね。これに似たことを菅田くんにも思っていて、菅田くんも演技めちゃ上手いし、何でもできる人だと思ったけど、今回の菅田くんを観ていると、元々いいっていう前提があっても、実はすごくいいんじゃないかって思っちゃう。土井さんと一緒にやっていると、そのあたりの不思議な力を持った、持っちゃうっていうのかな。僕はそう思うんですよね。いつもね。

土井:僕は有村さんとは5年ぶりで、菅田くんとほぼ10年ぶりの仕事だったんですけど。やっぱりその数年間で、2人がやってきていることはすごいじゃないですか。

澤本中村:うん。

土井:そういう彼らがありふれた人たちの話をどうやるのかっていうことには、逆にすごく興味があったんですけど、本当に見事だなと思って。特に2人とも、とても人間の純粋な面を求められるじゃないですか。でも、その一方で、あまり見えない人間の違う面というか。ちょっと暗かったり、悪かったり、気持ちのちょっとしたダークサイドみたいなことを、ひとりの人間のなかにちゃんと自然に見せられるというか。今回は2人とも、そこが素晴らしいと思いました。

喧嘩をしているシーンとか、私たちが観ていて胸にグサグサ突き刺さる感じがするのも、若くて主役をやる人気のある彼らは、本来生々しいものを表現するのは怖いと思うんですよね。だけど、そこに恐れが全然ないなって。僕が何を演出したかっていうと、「こういう風に芝居して」っていうより、やっていくうちに2人の生のものがちょっと見れちゃったなっていうか。台本では読み切れなかった生々しいものが生まれたら、成功したなとは思います。そういうものは求めてはいますけど。

中村:撮り方や引き出し方もあったりするんですか。

土井:それはちょっと。自分ではどうしているのか、よく分かんないんですけど。

澤本中村:(笑)。

土井:何かつぶやいたりはしているんですけど、「こうやっています」っていうのは、言えないんです。

中村:そうですよね。

土井:ただ、場の空気っていうか。面白いものが生まれるといいなと思ったときには、そういう場の空気をちゃんとつくることは、大事にはしていますね。どういう場所でやるか、どういう距離感でやるか、スタッフがどういう距離感で現場でいるのかみたいな。そういう、今何が相応しいかを考えますけどね。監督の仕事のほぼ8割くらいは、そうなんじゃないかって思います。

中村:場づくりというか。

土井:環境をつくる。

中村:というわけで、早くもそろそろお別れの時間が近づいております。改めまして映画『花束みたいな恋をした』ぜひ観てください。感想も送ってください。監督はほかに、今後のご予定なんかも決まっていたりするんですか。

土井:とりあえず、今年の秋に放送するテレビドラマに、今はちょっと携わっています。緊急事態宣言下で大変なんですけど、気を付けながら粛々と撮影しています。2022年にまた映画ができればいいなとも思っています。それも少し準備しているところです。

中村:おお!

澤本:楽しみですね。

中村:お楽しみにと。この番組は放送後一週間、ラジコタイムフリーで聞くことができます。また、TOKYO FMのデジタルコンテンツが集約されているスマホアプリAuDee(オーディー)でも、番組のトークのみ配信中です。もう一度聞きたい、知りたいという方は、AuDeeで検索してみてください。今夜のゲストは映画『花束みたいな恋をした』の監督、土井裕泰さんでした。ありがとうございました!

土井:ありがとうございました。

〈END〉