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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

若い子が見る映画だからこそ、インターネットの世界を肯定的に描いてあげたい(ゲスト:細田守)【後編】

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【前回コラム】「『竜とそばかすの姫』は未来を想定して描いていたはずが「急に今日的になってきた」(ゲスト:細田守)【前編】」はこちら

今週のゲストは、先週に引き続き、アニメーション映画監督の細田守さん。今回は新作映画『竜とそばかすの姫』で声優を務めた中村佳穂さんや佐藤健さんを抜擢した理由から、インターネット時代を生きる若者へのメッセージまで、たっぷりと語ってもらいました。

今回の登場人物紹介

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左から、細田守、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)

※本記事は7月18日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

発想の原点はインターネットの世界の中での『美女と野獣』

澤本:はい、皆さんこんばんは。CMプランナーの澤本です。

権八:こんばんは。CMプランナーの権八です。

中村:こんばんは。WEB野郎こと中村ヒロキです。今週も先週に引き続き、アニメーション映画監督の細田守監督をゲストにお迎えしております。よろしくお願いします。

細田:よろしくお願いします。こんばんは。

中村:新作『竜とそばかすの姫』が公開になりました。皆さんもう観ましたかね?

澤本:僕らは聞きたいこといっぱいあるんですけどね。細田さんの中で、何年かに1回インターネットを中心にした映画をつくりたい、というのはあると思うんですけど「今回これにしよう」って思ったきっかけやヒントはあるんですか?

細田:発想の原点は、インターネットの世界の中で『美女と野獣』をやったらどうなるか、というのです。もともと僕『美女と野獣』が大好きで、『美女と野獣』の中でも特に野獣が好きなんですよね。乱暴で荒くれている人が、実は心の中に別の人物を隠し持ってた。もしくはそこからどういうふうにもっと違う自分に変化しようと自分で望むような人になるかみたいな、そういう人物に魅力を感じるんです。「自分は自分でいいじゃん」って言う人よりも、「好きな人のためにもうちょっと自分はマシになれないかな?」「もうちょっと優しくしてあげられたらどうだろう」と思ってる人を野獣の中に見出すんですよね。そういう表面的な暴力性というか、まさに野獣みたいな姿の人がそんなことを思ってるという二重性がすごく魅力的だと思っていたんです。

それと、インターネットの二重性。つまりTwitterで言うことが普段言ってることと全然違うことを言ってるとかね。ネットを介していろんなところにもうひとつの自分が立ち現れてるわけじゃないですか。これと、『美女と野獣』の野獣の二重性は似てるなと思ったんですよね。むしろインターネットの中で一種の息苦しさを感じてる今、『美女と野獣』の野獣について描くとすごくうまくいくんじゃないかとピンときたんです。

澤本:なるほど。すごいね。

権八:そこが重なるのはすごい。本当におっしゃる通りですね。

澤本:その辺が異常な共感につながってくるんだろうね。

権八:そうですね。僕らも日々生きている中で、いろんな自分がいるわけだし。それと映画観ていると、野獣が抱えているつらさみたいなところもすごく分かるような気もする。すずちゃん(主人公)の問題や抱えてる傷も、当然自分も家族があるから「これはつらいだろうな」ってわかるしね。感情移入ポイントがすごい。

澤本:当然、すずちゃんのお父さんにも感情移入しちゃうしね。

権八:お父さんはもう……。役所広司さんがいいんですよね。ボソッと遠くから言うの。

中村:噂によったら、我らがオブ・ザ・イヤー澤本嘉光氏も一瞬出られているという……?

澤本:出てるというか、声録りにちょっと立ち会わせてもらったんですよ。そしたら細田さんが「ちょっと澤本くん立ってみて」って言われて。やらせていただいたんです。

権八:えっ!どれだろう。

澤本:絶対分かんないけど。

権八:1カ所だけですか?

澤本:1カ所だけですよ。当たり前じゃないですか!映画をぶち壊しにしちゃいますよ。

細田:いやいや。やっぱりアニメの口パクと合わせるのも大変だったんじゃないですかね?

澤本:大変です。大変だし、勇気がいるね。変な声出すの。

権八:変な声出すの?

細田:わっはっは(笑)。

権八:なんていうセリフだったんですか?

澤本:なんだっけな。

細田:「不思議な曲」っていう。

権八:ちょっとそれ結構大事なシーンじゃないですか!(笑)

澤本:冒頭の方で。

中村:あ~!はいはい!

権八:ちょっと待って、もう1回絶対見ないといけないじゃん(笑)。

澤本:観てるときに不安だったのは、本当に失敗したと思ったから、そこだけ声が浮いてなきゃいいなと思ってた。でも気がつかなかったなら良かった。難しいですね。

細田:でもね、澤本さんがあの世界にいたら最初にベルを見つけるんじゃないかと思ったんです。澤本さんらしいところはどこだろうと思ってあそこをお願いしたんですよ。

権八:そんな澤本さんのためにちゃんと考えてくださったんだ(笑)。

澤本:申し訳ない限りですよ。

細田:でも素晴らしかったですよ。何回かやってデフォルメを澤本さん自ら調整してもらったのが良かったです。キャラクターのムードに合ってました。

中村:澤本さんの「不思議な曲」。一言いただいても?

澤本:どんなモードでやったか忘れてるよ? どんなんだったっけ……「不思議な曲~」とかそんな感じ。

中村:おお~!

権八:いたいた!そいつ!(笑)

澤本:嘘つけ!(笑)

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