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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

若い子が見る映画だからこそ、インターネットの世界を肯定的に描いてあげたい(ゲスト:細田守)【後編】

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細田作品に夏公開が多い理由とは?

権八:仮想空間<U>の中で出てくる警察というか自警団のような人たちの正義というテーマがあったり、ちょっとしたことでバーッと炎上しちゃって鎮火するシーンがあったり。まさに今のネット空間と現実に起きていることが生々しく描かれてると思いました。その辺で悩んでる子やつらい思いしてる人はいっぱいいると思うんですけど、監督はどういうふうに思われていますか?

細田:今の子たちって本当に息苦しくて抑圧されているような要素が多いですよね。例えばこの作品を持ってて思うのが、「自分の正体がバレる」のが一番現代で怖いんだなっていう。匿名で好きなようにできる世界だからこそ、匿名で言ったことがログ解析されて自分だとバレちゃうと人生終わりだ、みたいに思っちゃう。そういう全く別のルールの中で生きざるを得ない中で生きてると思うと、本当に切ないような気がしちゃうんですよね。でも、ネットって悪くて面倒くさくて困ったことばっかりじゃなくて、いいこともいっぱいあると思うんです。例えば、この映画の中にもあるんですけど、全然見ず知らずの人を助けることができる。現実に生きてると無理じゃないですか、知らないから。でも、知らない人と出会って知らない人の力になることができるんですよね。ある種の気持ちによって見ず知らず同士がデジタル上で連帯することができるという、ネットにしかできないすごい面もあると思うんです。そういうすごい面は普段あんまり普段見えない。誹謗中傷や悪い面ばっかり見えてて、それによって嫌な目に遭ってる若い子も多いと思うんだけど、そういう中でも希望持ってほしい。

映画の中でインターネットっていうのも、ディストピアで悪いように描かれがちなんだけど、僕はそうじゃなくて、若い子が見る映画だからこそインターネットの世界を肯定的に描いてあげたいんですよ。それは彼らがこれからずっと付き合って生きていく世界だから、批判ばっかりしててもしょうがないから。新しいこの世界に対してもっと自分の可能性を試せるんだっていう希望を持って、自分の人生をぐっと進めてほしいな。それがこの映画に込めた気持ちです。

中村:まだまだいろいろお話聞きたいんですけど、お別れの時間が近づいてきております。最後に改めて監督から視聴者の皆様にメッセージを。

細田:『竜とそばかすの姫』っていう映画は、インターネットの世界の中の歌姫・ベルが、実は日本の田舎のクラスの隅っこでうつむいてるそばかすだらけの女子高生だったっていう話で、その女の子がベルとして歌いながら成長していく青春恋愛物語です。ラブロマンスあってアクションもあって、鬱屈した夏にスカッと観ることができる、夏らしい映画になったと思います。ぜひ皆さん見てもらえたらと思います。

中村:細田守監督といったら夏ですからね!

細田:夏ですね!(笑)

中村:決めてるんですか?

細田:いやいや。夏が公開ってことになるんで、夏休みが始まるにあたって景気づけのいいもの観たいって思うっていう、自分も子どものときそんな気持ちだったので。そういうのにぴったりな映画を作っていきたいなと思って今回そういう映画になりました。気持ちよく夏を過ごしていくための役に立てたらいいなと思います。

中村:ありがとうございます。ぜひ観に行ってください。最新作『竜とそばかすの姫』、公開中でございます!この番組は、TOKYO FMのデジタルコンテンツが集約されているスマホアプリ『オーディ』でも、番組のトークのみ配信中でございます。もう一度聴きたい・知りたいという方は『オーディ』で検索してみてください。というわけで、今夜のゲストはアニメーション映画監督の細田守さんでした!ありがとうございました!

細田:どうもありがとうございました!

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