「制約」を活かせば、日本は次のリープフロッグを起こせる
こうした制約をリフレーミングで捉え直す思考を身につけることができれば、日本もまた次のイノベーションを起こせる可能性を秘めているともいえます。例えば日本の小売で考えると、下記のような制約が浮かんできます。
・「少子高齢化で人材不足である」という制約
・「生産性が低く長時間労働である」という制約
・「データ活用が進んでいない」という制約
・「英語の壁で海外展開が進んでいない」という制約
こうした一見不合理な不制約は、日本の小売が次のリープフロッグを起こすエンジンになるために、それぞれ視点を変えていくと下記のように捉え直すことができそうです。
少子高齢化で人材不足 → 自動化に関するイノベーションが促進される
生産性が低く長時間労働 → 従業員側からも機械との共存が歓迎される
データ活用が進んでいない → オフラインデータで「おもてなし」が進化する
英語の壁で海外に飛び出せていない→ 翻訳の進化により語学の壁がなくなる
こうした制約条件こそ視点を変えれば、日本が次のイノベーションを起こす原動力になるはずです。実際、コロナ禍におけるウォルマートは、アマゾンよりも高い成長を遂げました。つまりデジタルネイティブな企業よりも、元来アナログだった企業の方が、改革できた時の伸び代が大きく、変化に対する可能性を秘めているといえるのです。
「制約」の3分類から、突破口を見出せ
そしてこれから「制約」を活かすために、下記の3要素を見てみましょう。エリヤフ・M・ゴールドラット博士の「TOC(制約理論)」によれば、制約には「物理的制約、市場の制約、方針の制約」とい3つの種類があるといわれています。
「物理的制約条件」とは、物理的なリソース(人・物・金)に関する制約のことです。これはコンテンツにおける原則(表現、予算、納期)の制約などにも類似します。
「市場の制約条件」とは、競合が何をさせてくれるか?について考えることです。自社のポジションによって、取れる選択肢は変わります。このマクロ的環境を拡大すると、中国という国が取れる選択、日本という国が取れる選択も自ずと見えてきます。こうした地政学的な動きについても知ることは大切です。
最後に「方針の制約条件」です。これは、経営方針・企業文化・自分のこだわりなど、目に見えない制約条件。つまり思い込みが持つ制約条件です。「日本は衰退するだけだ」というのは、単なる思い込みなのかもしれません。
そしてこの中で一番自分の力で変えやすいのは、「方針の制約条件」。つまり苦境の中でこそ、マインドセットを変えることができれば、爆発力な進化を遂げられるのです。
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