ソニーグループ傘下で不動産売買支援のSREホールディングスは3月2日、不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」について、ヤフーとの共同運営を終了すると発表した。物件所有者向けの売却支援サービスは6月末で閉鎖する。不動産会社向けの顧客開拓サービスを残し、名称を変更する。
SREホールディングスの前身はソニー不動産で、2014年に設立。翌15年にヤフーと資本提携し、共同事業として「おうちダイレクト」を立ち上げた。出資発表時点の比率はソニー約56.3%、ヤフー約43.7%だった。20年11月4日時点では、ヤフー親会社のZホールディングスが334万7500株、発行済株式総数比で21.98%を保有していた。
サービスを終了する物件所有者向けの売却支援サービス「セルフ売却」は、所有者が一括査定やSREの人工知能(AI)技術による査定を参考に値付けをし、不動産会社を通さずに、物件を販売できるというもの。集客にはヤフーの不動産情報サイトを活用。買主側からSREが手数料を受け取るビジネスモデルだった。
「セルフ売却」を発端に、三井不動産などが加盟する不動産流通経営協会(FRK)は2015年12月、1998年から続けていた提携を解消して広告掲載を止めたほか、約10万の不動産業者を会員に持つ全宅連(全国宅地建物取引業協会連合会)も翌16年にFRKの後に続き、耳目を集めた。既存の不動産業者にとっては売主側との取引を妨げられるほか、買主と独占的に取引するSREにはヤフーが出資しており、事実上の競合となっていた。
両社は既存の業務提携を3月末で解消した後、不動産会社向けにSREホールディングスが「Yahoo!不動産」の広告商品を販売する形で、業務提携し直す。ヤフーの親会社のZホールディングスは288万2600株を売りに出すほか、SERは新株式の発行も同時に行い、Zホールディングスの保有割合は3%未満となる見通し。
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